米議会、IRSの暗号資産規制を覆す決定 – デジタル資産業界にとって大勝利

米下院と上院が「ブローカー・ルール」を覆す

米国議会が暗号資産業界にとって大きな勝利となる決定を下した。内国歳入庁（IRS）の論争を呼んでいた「ブローカー・ルール」を覆す決議を可決し、規制の負担を軽減する方針を示した。

3月11日、米国下院はH.J. Res. 25を可決し、以前の政権が導入した「ブローカー・ルール」を覆す動きを強めた。これは、3月5日に上院が可決したS.J. Res. 28に続くものである。

この規則は、分散型金融（DeFi）事業者を含む特定のブローカーに対し、取引の詳細な報告を義務付けるものであった。

規制撤廃の背景と影響

支持者は、この規則が過剰なコンプライアンスコストをもたらし、米国内の暗号資産開発を阻害する要因になっていると主張していた。

下院金融サービス委員会のフレンチ・ヒル議長（共和党・アーカンソー州）は、「この規則は政府の過剰な介入の典型であり、米国のデジタル資産開発を海外に押しやる危険性がある」と述べた。

さらにヒル議長は、「インフラ投資・雇用法におけるデジタル資産の報告要件を技術の実態に即したものにするため、超党派での協力を進めたい」と強調した。また、規制の明確化を通じて、米国の技術と起業家が国内で成長できる環境を整える必要があると述べた。

共和党議員の見解

下院共和党会議のリサ・マクレイン議長（共和党・ミシガン州）も、「我々は、デジタル資産取引における不要な官僚的規制を撤廃するために投票した。共和党は規制を緩和し、イノベーションを促進し、米国をより競争力のある国にする」とコメントした。

この決議が法律として成立するためには、ドナルド・トランプ大統領の署名が必要である。ホワイトハウスは、この措置を支持する意向を示しており、暗号資産分野でのイノベーション促進と規制緩和を進める方針に沿った動きと見られている。

このニュースは、暗号資産業界にとって大きな前進だと考えられる。IRSの「ブローカー・ルール」は、多くの事業者にとって不透明で厳格な報告義務を課しており、特にDeFi分野では実行が困難とされていた。

そのため、今回の規制撤廃は、国内のブロックチェーン技術の発展や投資を促進する可能性がある。

一方で、規制の緩和が税務管理の難化や、不正利用の温床になるリスクも指摘されている。適切な透明性を確保しつつ、イノベーションを阻害しないバランスの取れた新たなルール作りが求められるだろう。

今回の決定が、米国の暗号資産業界にとって持続的な成長の礎となるか、今後の動向に注目したい。