香港政府がステーキング提供を正式承認、仮想資産規制の最前線へ

香港の金融規制当局である証券先物委員会（SFC）は、ライセンスを取得した仮想資産取引プラットフォームに対し、ステーキングサービスの提供を正式に許可する新ガイドラインを発表した。

これは香港がアジア太平洋地域における仮想資産とWeb3分野のハブとして地位を固める動きの一環である。

新ステーキング制度、リスク管理と透明性を重視

新たな規制下では、プラットフォームがユーザーのステーキング対象資産を自ら保有・管理することが義務化されている。

さらに、サービスを提供するにはSFCの事前承認が必要であり、引き出し手段の全媒体を支配下に置く体制も求められる。これにより、利用者保護と不正リスクの最小化を図る。

スラッシングやアンステーキングの情報開示も義務に

取引所は、ユーザーに対してスラッシングリスク、アンステーキングの手続きと所要期間、ロックアップ期間、技術的脆弱性（ハッキングや停止リスク）などの情報を明確に開示する必要がある。

SFCは、ステーキングの普及と同時に、利用者に適切なリスク理解を促す体制構築を重視している。

デジタル資産規制のリーダーを目指す香港

この制度は、2025年2月にSFCが発表した仮想資産政策ロードマップの一環であり、市場アクセス拡大と規制の高度化を推進する施策の一部である。

香港は2024年、アジアで初となるビットコインおよびイーサリアムのスポットETFを上場させたことでも注目を集めており、規制とイノベーションの両立に積極的な姿勢を示している。

SFCのクリスティーナ・チョイ投資商品部門責任者は、「ブロックチェーンは、かつてのフロッピーディスクが情報保存を変えたように、金融のルールそのものを塗り替える可能性を持つ」と語った。

金融大手State Streetは、香港のデジタル資産市場が2025年内に7,000億ドル規模に達し、日本を上回ると予測しており、同地域における成長が期待されている。

これまで多くの国・地域では、ステーキングに関するルールが不明瞭で、事業者や投資家が慎重にならざるを得ない状況が続いていました。しかし、香港は今回のガイドラインにより、規制の透明性を高め、事業者が法的なリスクを抑えつつサービスを展開できる環境を整えています。

特に評価できるのは、SFCがユーザー保護を徹底しながらも技術革新を後押しするバランスを意識している点です。カストディ要件やリスク開示義務、承認制の導入など、投資家が安心してサービスを利用できる基盤を構築しています。

さらに、香港が2024年にアジア初のビットコイン・イーサリアム現物ETFを上場させた実績に続き、今回のステーキング制度も導入することで、「規制されたDeFiインフラの受け入れ国」として他国に先んじる形を取っています。これは、将来的に香港が世界の機関投資家の資金流入先として選ばれる土台になる可能性があります。

総じて、今回の動きは香港の仮想資産戦略における大きな前進であり、ステーキング市場の信頼性向上と普及促進に寄与する重要な一歩だと評価しています。今後、他のアジア諸国がこの制度設計を参考にする流れも出てくるのではないでしょうか。