CFTCが仮想通貨デリバティブに関する勧告を撤回、上場規制の障害を排除

米商品先物取引委員会（CFTC）は、仮想通貨デリバティブの新規上場に対する厳格な審査を求める勧告を撤回したことを発表した。これにより、仮想通貨関連のデリバティブ商品の上場に関する規制上の障害が取り除かれることになる。

仮想通貨デリバティブの規制緩和、即時適用

CFTCは声明の中で、同機関の市場監視部門（DMO）および清算リスク部門（DCR）が、2018年5月21日に発行されたCFTCスタッフ勧告18-14号（仮想通貨デリバティブ商品上場に関する勧告）を即時撤回することを決定したと発表した。

この勧告は、指定契約市場（DCM）やスワップ執行施設（SEF）でのデリバティブ契約の上場、またはデリバティブ清算機関（DCO）による清算に関する強化基準を提供する目的で発行されたものであった。

仮想通貨市場のリスクを理由に厳格な監視を求めていた

当時、DMOおよびDCRは、仮想通貨市場のリスクを考慮し、CFTCスタッフと登録事業者による厳格な監視が必要だと判断していた。

「上記のリスクを踏まえ、スタッフは、CFTC規則40.2または40.3に基づく新しい仮想通貨デリバティブ契約の上場に際して、以下の重要分野に特別な注意を払う必要があると強調していた。これには、(A) 市場監視の強化、(B) CFTCスタッフとの連携、(C) 大口トレーダー報告、(D) 関係者への説明、(E) DCOのリスク管理が含まれていた。」

3月27日に勧告を正式撤回、経験の蓄積と市場成熟が背景

CFTCは3月27日、正式にこの勧告を撤回したことを発表した。同機関は、2018年当時の勧告は仮想通貨デリバティブ商品の経験が限られていた時期のスタッフの見解を反映したものであり、市場の成長と成熟に伴い、もはやこの勧告は必要ないと判断したと説明している。

「DMOおよびDCRは、仮想通貨デリバティブ商品の上場に関するスタッフの経験の蓄積と市場の成長・成熟を踏まえ、もはやこの勧告は不要であると判断した。」とCFTCは述べている。

2018年当時は、仮想通貨デリバティブ市場がまだ発展途上で、リスク管理の枠組みも整備されていなかったため、CFTCは厳格な監視と規制を求める必要がありました。しかし、現在は市場の取引量が大幅に増加し、取引所や清算機関のリスク管理体制も格段に強化されています。

今回の勧告撤回によって、仮想通貨デリバティブ商品の上場プロセスがよりスムーズになり、金融機関や投資家が新しい商品にアクセスしやすくなるでしょう。これにより、仮想通貨市場の流動性がさらに向上し、デリバティブ市場の多様性が広がることが期待されます。

一方で、規制緩和による市場の自由化は、潜在的なリスクも伴います。デリバティブ市場が過熱すると、価格の乱高下や不正行為のリスクが高まる可能性があるため、CFTCが引き続き市場の健全性を維持するための監視を強化することが重要です。

総合的に見て、今回のCFTCの判断は、仮想通貨市場の成熟と規制当局の信頼感の向上を示すポジティブな兆候ですが、市場の安定性を確保するための慎重な対応も引き続き求められると思います。