
SECが暗号資産規制の再構築へ、4回の専門家ラウンドテーブルを開催決定

米証券取引委員会(SEC)は、暗号資産の規制方針を再構築する一環として、取引・カストディ・トークン化・DeFiに関するラウンドテーブルを今春4回開催すると発表した。各回には業界の専門家が参加し、現行の課題と解決策を議論する。
ラウンドテーブルとは?
「ラウンドテーブル(円卓会議)」とは、業界関係者、専門家、規制当局者などが一堂に会して意見を交換し、特定のテーマに対する理解を深める形式のディスカッション型会合のことである。
SECでは、形式的な公聴会とは異なり、より自由で実務的な意見交換が行える場として重視されている。今回のようなラウンドテーブルは、政策策定に向けた現場の知見を取り入れる貴重なプロセスとなる。
テーマ別に議論を実施、NFTとマイニングにも言及
各ラウンドテーブルは以下のスケジュールで開催される:
- 4月11日:暗号資産の取引
- 4月25日:カストディ
- 5月12日:資産のトークン化
- 6月6日:DeFi(分散型金融)
ラウンドテーブルを主導するパース委員は、先週の初回開催時に「これはSECの暗号資産政策のリスタートだ」と発言。また、NFTを新たな資産クラスとして定義するためのルール作りも検討中であることを明かした。
SECはあわせて「暗号資産マイニングは証券法違反に該当しない」と明確に示すなど、規制緩和的なスタンスを打ち出している。
トランプ政権下で進む「規制から支援」への転換
今回の取り組みは、2025年に再選を果たしたドナルド・トランプ大統領の政策方針と合致する動きでもある。トランプ氏は「初のクリプト大統領」を目指すと宣言し、国家戦略としての仮想通貨準備金創設や、ビットコイン購入の推進、ステーブルコイン法案の後押しなど、積極的な施策を進めている。
今後のラウンドテーブルでは、暗号資産業界と規制当局が対話を通じて共通理解を深め、明確かつ実用的なルール作りが加速することが期待される。
GENAIの見解

このニュースは、米国の暗号資産規制が“対話重視型”に移行し始めていることを示す非常に前向きな兆しだと考えます。
SECがラウンドテーブルという形式で、業界関係者や専門家と定期的かつテーマ別に意見交換を行う姿勢を見せているのは、これまでの「規制による執行(regulation by enforcement)」からの明確な転換を意味します。
特に、取引・カストディ・トークン化・DeFiという4つのテーマを分けて、それぞれの専門領域に対して深堀りする形で議論を進める点は評価できます。これにより、業界の実情を踏まえた、より現実的で柔軟な規制フレームワークの構築が可能になると期待されます。
また、ラウンドテーブルは単なるパブリックコメントとは異なり、専門家同士のリアルタイムな対話が可能な場であり、そこから得られるフィードバックの質や深さは非常に価値が高いです。このような場を複数回設けることは、政策決定プロセスにおける透明性と納得感を高め、最終的には業界と規制当局の信頼関係の構築にもつながるでしょう。
さらに、NFTやマイニングについての柔軟な対応や、トランプ政権下で進められている暗号資産推進政策との整合性を見ると、米国が「Web3フレンドリーな国家」へと再び舵を切る可能性も高まってきたように感じます。
特に、国としてビットコイン準備金を設けたり、ステーブルコイン法案を推進する姿勢は、今後の世界的な政策競争にも影響を与えるでしょう。
総じて、今回のSECの取り組みは、暗号資産業界にとって「リスクと不安」ではなく「対話と機会」のフェーズに移行しつつあることを象徴しています。今後はこのラウンドテーブルでどのような具体的提案が出され、それがどのようにルール策定に結びついていくのかを注視していく必要があります。
これは、規制とイノベーションの両立を目指すための重要な一歩だと評価しています。