ChilizがSECと面会、米市場への再参入に向け最大1億ドルの投資を計画

スポーツ特化型Web3企業であるChiliz(チリーズ)が、米国証券取引委員会(SEC)の仮想通貨タスクフォースと面会し、2026年のFIFAワールドカップに合わせた米市場再参入と最大1億ドルの投資計画を議論したことが明らかとなった。Chilizは2022年、規制の不透明さとFTX崩壊の影響を受け、米市場から「戦略的撤退」を行っていた。

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Chilizとは

Chiliz(チリーズ)は、スポーツやエンターテインメント業界向けにブロックチェーンベースのファントークンを提供するSportsFi(スポーツ×金融)領域の先駆企業である。ファントークンとは、サッカークラブやスポーツチームが発行する公式暗号資産であり、保有者は試合に関する投票や限定イベントへのアクセス、グッズ購入などの特典を得ることができる。

同社は、Socios.comというプラットフォームを通じてファントークンの発行・取引を支援しており、FCバルセロナ、ユベントス、パリ・サンジェルマン、マンチェスター・シティなど、世界的な強豪クラブと数多くのパートナーシップを締結している。また、近年ではeスポーツやレーシングチーム、さらにはアメリカンスポーツリーグへの展開も進めており、スポーツファンとチームをトークン経済でつなぐユニークなエコシステムを構築している点が特徴である。

CHZ(Chilizトークン)は同社のガバナンストークンであり、ファントークンの購入や投票、報酬獲得など様々な用途に用いられる。Web3とスポーツを融合させたこのモデルは、ファン参加型経済の象徴的事例として注目されている。

Chilizが米市場への再参入へ前進

SECが公開した会合記録によれば、Chilizはファントークンの構造とその**「証券に該当しない」理由**を詳細に説明しており、規制明確化を前提に再度本格的な活動を開始する方針である。ファントークンは、ファンがスポーツクラブの公式トークンを保有・利用できる仕組みで、同社は過去にFCバルセロナやパリ・サンジェルマン、マンチェスター・シティなどと提携してきた。

同日、Chiliz CEOのアレクサンドル・ドレイファス氏は、トランプ政権のデジタル資産顧問委員会の責任者ボー・ハインズ氏との面会写真を公開しており、ホワイトハウスとも再参入に向けた協議を進めている可能性が高い。これにより、現政権の仮想通貨推進姿勢を追い風に、米国内でのプレゼンス拡大を狙う構えである。

エコシステム縮小からの反転狙うChiliz、規制明確化が鍵

一方で、Chilizのエコシステムは近年大きく縮小している。TVL(総預かり資産)は2024年12月の1,780万ドルから、2025年4月には650万ドルへと63.5%減少。ガバナンストークン「CHZ」の価格も12か月で67%下落しており、回復には規制の明確化と大型イベントに伴う新たな需要の喚起が不可欠とされる。

2026年のワールドカップは米国を中心に開催され、カナダおよびメキシコが共催国となる。Chilizはこの世界的イベントの経済効果と注目度を最大限に活用し、米市場でのブランド再構築を図る計画である。

NBAやNFLの複数チームもファントークン導入に関心を示しており、規制が整備されれば新たなスポーツ×Web3市場が本格始動する可能性がある。

GENAIの見解


GENAI

Chilizは2022年に米国市場から一時撤退して以降、グローバルなパートナーシップを通じて欧州や中南米などのサッカークラブと連携を拡大してきましたが、最大規模かつ最も資本の集中する米国市場への再挑戦には、規制の整備が不可欠でした。

その文脈で、今回のSECとの面会、さらにはホワイトハウスとの接触は、規制環境が転換期にある今だからこそ実現したタイミングであり、非常に重要な一手です。

特に注目すべきは、ファントークンが「証券に該当しない」とする構造的説明を行った点です。これまでのSECの姿勢では、トークンの多くが証券とみなされるリスクを抱えていましたが、新委員長のもとではユーティリティ性を強調する設計や、非投機的な用途が明確なトークンには、より柔軟な判断が期待されます。ファントークンはその代表例とも言え、Chilizにとっては制度的な“光明”が見え始めた形です。

また、2026年のFIFAワールドカップを再参入の起点に選んだ点も戦略的です。米国がホスト国となるこのタイミングでファントークンをローンチすれば、世界的な注目度と商業機会を最大限に活用できる環境が整います。さらに、NBAやNFLなどアメリカ4大スポーツとの連携が実現すれば、ファントークンのユースケースはグローバルスポーツ全体に広がる可能性を持ちます

ただし、現状ではChilizのTVLやトークン価格は大幅に下落しており、エコシステムの活性化には新たな需要創出が不可欠です。今回の米国市場再参入は、その突破口となる大規模な“再起戦略”であり、失敗は許されないフェーズにあります。

結論として、Chilizの動きは、Web3×スポーツ市場における規制対応とグローバル展開の好例であり、今後ファントークンを展開する他プロジェクトや業界全体に対し、実用性・法的整理・マーケティングの観点で多くの示唆を与えるモデルケースになると見ています。米国の規制緩和とともに、この分野の成長には大きな期待が寄せられる状況です。

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