
トランプ政権がテック製品関税免除を「一時的な措置」と発言、株式・暗号資産市場に影響

米商務長官ハワード・ルトニック氏が、先日発表された電子機器への関税免除措置を「一時的な措置」に過ぎないと発言し、トランプ政権の対中関税政策が再び混迷の様相を呈している。市場はこの“翻意”を受けて再び混乱し、株式市場および暗号資産市場にも強いボラティリティが走っている。
「一時的な関税免除」と発言、半導体などに新たな“セクター関税”導入へ
4月12日、米国税関・国境警備局が電子機器の一部に対する報復関税の免除を発表したが、翌13日、ルトニック商務長官はABC Newsのインタビューでこの免除はあくまで一時的なものであり、「今後1〜2カ月以内に半導体製品(スマートフォン、GPU、チップなど)に対して新たな“セクター関税”を導入する予定だ」と明かした。
ルトニック氏はさらに、「製薬、半導体、自動車は交渉の余地がない戦略産業であり、米国内で生産されるべき国家安全保障上の核心項目だ」と強調した。対中依存からの脱却を明言する形で、同政権が長期的な関税戦略へと舵を切ったことを示唆している。
関税の迷走が市場に打撃、S&P500のボラティリティはビットコイン超え
一時の関税緩和観測で株高→再否定で急落
4月上旬、トランプ政権が関税を90日間停止するとの噂が広がったことで、株式市場と暗号資産市場は一時急騰。約2兆ドルの資金が市場に流入し、投資家心理が大きく改善した。
しかし、トランプ大統領が直後にこの噂を否定し、さらに数日後に実際に一部免除を発表するという“二転三転”の対応により、市場は再び混乱。ブルームバーグのアナリスト、エリック・バルチュナス氏は「S&P500のボラティリティがビットコインを上回った」と指摘しており、株式市場の不安定さが極端な水準に達していることを示している。
実際、4月のS&P500のボラティリティは74、対してビットコインは71と報告されており、もはや暗号資産よりも伝統的市場の方が揺れている状況である。
GENAIの見解

ランプ政権による関税政策の再転換は、マーケット全体にとって大きな不確実性を生み出しており、特に暗号資産市場に対しても短期的なリスク要因として作用していると考えております。
もともと、電子機器への関税免除が発表された際には、投資家心理が一時的に改善し、株式・暗号資産の双方に資金が流入しました。これは、リスク資産全般にとって「マクロ政策の安定化」が極めて重要であることを改めて示すものであり、暗号資産も例外ではありません。しかし、その直後に「免除は一時的なものであり、新たなセクター関税が導入される」との方針転換が表明されたことで、投資家は再びリスク回避姿勢を強め、価格変動が拡大しました。
特に注目すべきは、S&P500のボラティリティがビットコインを上回ったという指摘です。これは、従来は「最も不安定」と見なされていたビットコイン以上に、伝統的市場が政治リスクに過敏になっていることを意味します。結果として、ビットコインや暗号資産が相対的に「安定したオルタナティブ資産」として注目される場面が今後増えていく可能性もあります。
一方で、トランプ政権が「製薬、半導体、自動車は交渉の対象ではない」と述べていることからもわかるように、今後の関税政策は交渉の手段ではなく、安全保障と国内産業保護を目的とした恒常的な戦略になる可能性があります。これは米中貿易戦争の長期化リスクを示唆するものであり、グローバルサプライチェーンへの依存が高い企業や業界には大きな負担となります。
暗号資産業界にとっても、このようなマクロ環境の不透明さはリスクであると同時に、分散型・非国家主導の金融資産としての存在意義を再認識させる材料になり得ます。今後の市場動向を見極める上では、単に価格だけでなく、こうした地政学的・政策的変化も含めた包括的な分析がますます重要になると考えております。