
米規制当局、銀行の暗号資産・ステーブルコイン取引を正式承認

米通貨監督庁(OCC)は、米国の銀行による暗号資産およびステーブルコイン関連の取引に対する規制を緩和した。これにより、銀行は暗号資産の管理やステーブルコインの特定の取引、ノード検証ネットワークへの参加が可能となる。
さらに、OCCは従来、銀行が暗号資産関連の活動を行う前に特定の要件を満たすよう求めていたが、この要件を撤廃することを決定した。ロドニー・E・フッド通貨監督官代行は「銀行は従来の金融業務と同様に、暗号資産関連の活動においても強固なリスク管理を維持すべきである」と述べたうえで、「今回の措置により、銀行が暗号資産取引を行う際の負担が軽減され、技術の違いを問わず一貫した規制が適用される」と説明している。
バイデン政権下では、OCCが銀行に対し、暗号資産関連の活動を開始する前に規制当局の承認を得るよう求める書簡を送付していた。しかし今回、その書簡は撤回された。
OCCは新たな声明で「過去の解釈指針で示された活動は、銀行が適切なリスク管理体制を整えていることを監督当局に示せば、合法的に実施できる」と明言。銀行は監督当局の書面による異議なしの通知を受けるまでは、これらの活動を行うべきではないと付け加えた。
このニュースは、米国の銀行業界にとって大きな転換点となる可能性がある。これまで銀行が暗号資産やステーブルコインに関与する際の規制は厳しく、慎重な対応が求められていた。しかし、今回のOCCの決定により、そのハードルが大幅に下がり、銀行が暗号資産市場へ参入しやすくなった。
特に、ノード検証ネットワークへの参加が許可された点 は注目すべきだ。これにより、銀行がブロックチェーンのインフラに直接関与し、分散型金融(DeFi)やその他のブロックチェーン技術の発展を支援する可能性が出てきた。これが進めば、従来の銀行業務と暗号資産業界の融合が加速し、新たな金融エコシステムが生まれるかもしれない。
一方で、リスク管理の重要性は依然として高い。暗号資産市場はボラティリティが大きく、規制の枠組みも発展途上であるため、銀行がどのようなリスク対策を講じるのかが焦点となる。特にステーブルコインに関する規制が今後どのように整備されるのか は、金融市場全体に影響を与える可能性がある。
今回のOCCの判断は、規制を緩和しつつも、一定の管理基準を維持するバランスを取ろうとしているように見える。これが成功すれば、銀行と暗号資産市場の健全な共存が進む可能性があるが、もし不十分な監視体制のまま進めば、金融システム全体のリスクが高まることも考えられる。今後の展開を慎重に見守る必要がある。