ゲーム系トークンが暗号資産トップ100から姿を消す、IMXの急落が象徴する衰退

ゲーム系トークンが暗号資産トップ100から姿を消す、IMXの急落が象徴する衰退

暗号資産市場において、ゲーム系トークンが存在感を急速に失っている。Immutable（IMX）の急落により、主要ゲームトークンがCoinGeckoの時価総額トップ100から完全に姿を消した。CoinMarketCapでも同様の傾向が見られ、トークン価格の大幅下落が業界全体に重くのしかかっている。

トップ100からの一斉離脱、IMXも脱落

かつては最大6つのゲームトークンがトップ100にランクインしていたが、2024年4月時点ではIMXが103位に転落し、ゲーム関連トークンはゼロとなった。

IMXは2023年12月には31位まで上昇していたものの、SECの調査や市場の冷え込みにより1年間で87％下落、直近1週間でも29％の下落となった。

他にもGALAやSAND、PIXELなどが軒並み大幅に下落しており、PIXELに至ってはピークから98％下落している。

ゲームの質は向上も、トークンは評価されず

現在のWeb3ゲームは、2021年の「Axie Infinity」ブームの時代に比べてクオリティの高いタイトルが多数登場している。例としては、「Off the Grid」や「Parallel」、「Pixels」などが評価されており、Epic Games Storeでも上位にランクインした実績がある。

ただし、「Deadrop」のように資金難やスキャンダルにより開発が中止されたケースもあり、良質なゲームでも運営継続の難しさが露呈している。

トークン経済の誤用が信頼失墜の要因に

専門家や開発者は、ゲームトークンが投機目的で先行し、実用性を伴わないケースが多かったことを問題視している。

ユーザーにとって重要なのは「スキンやアイテムの所有権」であり、独自トークンの必要性は薄いという指摘もある。

また、プレイ・トゥ・エアドロップ型の構造が短期的な熱狂を生む一方で、その後の価値急落がプロジェクトの信頼性を損ねていると指摘されている。

再起の鍵は「ゲーム本位」の設計と耐久性

暗号資産業界全体がAIやミームコイン、ソーシャルファイナンスといったトレンドに注目が移る中、ゲームトークンは一時的な話題性を失い、投資対象としても後回しにされつつある。

Loopify氏は「良いゲームがあっても市場は即座にそれを反映しない」とし、時間と耐久性が必要と語る。一方で、「90日で人口が激減するような経済設計を前提にしていては、ゲームとしての未来はない」との声もあり、真に持続可能なWeb3ゲームエコシステムの構築が今後の最大の課題とされている。

とりわけ、Immutable（IMX）をはじめとする主要なゲーム系トークンがすべて時価総額トップ100から消滅したという事実は、単なる価格下落ではなく、トークンモデルそのものの持続性や信頼性に対する市場からの疑念が強まっている証拠です。

2021年の「Play to Earn（P2E）」ブーム以降、数多くのゲームプロジェクトが生まれましたが、その多くがゲームとしての完成度よりも、トークン価格や短期的なリターンに重点を置いた設計となっていたのは否定できません。

結果として、投資家やユーザーの期待とのギャップが広がり、トークン価格が暴落→ユーザー離れ→プロジェクトの資金難という負のスパイラルに陥る例が後を絶ちませんでした。

しかし、だからといって「Web3ゲームの未来が終わった」と考えるのは早計です。実際には「Off the Grid」や「Parallel」など、ゲーム性を重視した本格的なタイトルが着実に登場し始めており、Web2ゲーマーとの接点を広げる土壌は整いつつあります。

本来、ブロックチェーンゲームの強みは「所有権の透明性」や「アイテム間の相互運用性」にありますが、それが“ゲームトークンありき”の設計に縛られすぎていたことが問題だったと考えます。

これから求められるのは、「トークンを軸にした経済モデル」から「ゲームとしての純粋な面白さ＋ブロックチェーンの恩恵を自然に享受できる構造」への移行です。つまり、“Web3的価値を感じさせないほど自然なUX”の提供が、今後の再起の鍵になるでしょう。

総じて、今回のゲームトークン急落は業界にとっての「一時的な後退」ではなく、「構造的な自省と再設計の好機」であると捉えるべきです。トークン価格に一喜一憂するのではなく、「ゲームそのものの価値」と「長期的なユーザーとの関係性」をどう築くかが、真にWeb3ゲームを主流に押し上げるための最重要課題であると感じています。