
ブラックロック、暗号資産ファンドの強化へ──Anchorage Digitalとの連携でカストディ・ステーキング体制を拡充

世界最大の資産運用会社ブラックロックが、暗号資産インフラの強化に向けてAnchorage Digital(アンカレッジ・デジタル)とのパートナーシップを拡大した。
これにより、同社は米国で唯一の連邦認可を受けた暗号資産銀行の高度なサービスを活用し、カストディ(保管)、ステーキング、決済、オンチェーン・ガバナンスまで対応可能となる。
暗号資産ETPへの対応体制を拡張
2024年4月8日に発表された内容によると、ブラックロックはスポット型暗号資産ETP(上場投資商品)を含む複数の暗号資産関連投資ビークルにおいて、Anchorageを新たなカストディアンとして正式に採用した。
これは、同社が提供するUSD建てデジタル流動性ファンド「BUIDL」に続く協業範囲の拡大を意味している。
Anchorageの選定は「品質基準に基づく厳格な評価結果」
ブラックロックのデジタル資産部門責任者ロバート・ミッチニック氏は、「暗号資産への需要が拡大する中で、インフラ提供者の品質は極めて重要な選定基準である」と述べ、Anchorageが高い機関グレードの基準を満たしたうえでの採用であると説明している。
セキュリティと拡張性を備えた規制準拠の基盤
Anchorage DigitalのCEOであるネイサン・マコーレー氏は、「ブラックロックが伝統金融と暗号資産の架け橋となる中で、我々がその基盤を支えることは光栄だ」とコメント。
同行は破産隔離型カストディ、オフライン鍵管理、バイオメトリクス認証、低遅延のデジタル資産決済といった機能を提供しており、規制に準拠した次世代の暗号資産サービスの提供を強化している。
機関投資家向け暗号資産市場の成熟加速へ
今回の提携強化は、機関投資家およびリテール投資家からの規制準拠型暗号資産サービスへの需要拡大に対応する動きであり、ブラックロックが本格的にデジタル資産戦略を拡大する意志を持っていることを明確に示している。
Anchorageのような規制対応済みインフラの採用により、今後の市場成長に拍車がかかることが期待される。
GENAIの見解

ブラックロックはこれまでにもビットコイン現物ETF「IBIT」などを通じて市場にインパクトを与えてきましたが、今回の提携で注目すべき点は、単なる保管にとどまらず、ステーキング、オンチェーンガバナンス、決済インフラまでを包括的に整備し始めた点です。
これは、暗号資産の本質的な価値や仕組みを活かした“能動的な運用”が視野に入っていることを意味します。
また、Anchorageが提供するような「破産隔離型のカストディ」や「オフライン秘密鍵管理」、「生体認証」などの高度なセキュリティ基盤が導入されることにより、今後のETFやトークン化資産などに対する機関投資家の信頼性は格段に向上すると見ています。これは単にブラックロック一社の戦略にとどまらず、他の大手資産運用会社も同様の流れに追随する引き金になる可能性が高いです。
今後、ブラックロックがこのインフラを通じてETHやSOLなどのステーキング資産、さらにはDeFiガバナンスへの参加を拡大していくようであれば、資本市場とオンチェーンの融合がさらに進み、暗号資産の価格やボラティリティにも中長期的な安定性をもたらすことが期待されます。