米国株式市場の優位性をトークン化が強化する可能性＝ロビンフッドCEOが見解

ロビンフッドのCEOであるブラッド・テネフ氏は、証券のトークン化が米国株式市場のグローバルな優位性を強化する鍵になるとの見解を示した。YouTubeチャンネル「Bankless」のインタビューで語られたこのコメントは、米ドルの支配力を高めたステーブルコインの役割になぞらえられている。

テネフ氏は、「ステーブルコインが米ドルの国際的な需要を高めているのと同様に、証券のトークン化は米国企業への投資機会を世界中の投資家に広げ、米国企業の支配力を後押しする」と述べた。

特に新興国においては、トークン化によって米企業株へのアクセスが簡素化されることで、通貨下落に悩む人々の資産防衛手段としても機能する可能性があるという。

「クリック数回で米国株に投資可能な時代へ」

現在、海外から米国企業に投資するには、銀行口座の開設や煩雑な手続きが必要だが、証券がブロックチェーン上でトークン化されれば、「クリック数回で米国株にアクセスできるようになる」とテネフ氏は強調する。これは個人投資家にとって利便性が飛躍的に高まるだけでなく、企業側にも資金調達の面で大きなメリットをもたらすという。

テネフ氏は、グローバルなクリプト市場を活用して米国企業が容易に資本を集められるようになれば、より多様で革新的な企業が生まれやすくなり、結果として米国市場全体の活性化にもつながると述べた。

「資産形成ツール」としての米国株、世界中に広がる可能性

また、トークン化された米国株式は、資産形成ツールとして新興国の個人投資家にも広く提供できる手段になると指摘。現地通貨の価値が急落している国では、こうした米国株トークンが「価値保存手段」としての魅力を持つとされている。

テネフ氏の発言は、伝統金融（TradFi）とデジタル資産の融合を巡る議論の中で、トークン化がもたらす資本の民主化とグローバルアクセスの可能性を強調する内容となっている。

現在、非米国居住者が米国株にアクセスするのは、依然として手間がかかり、法的・金融的なハードルも少なくありません。しかし、トークン化によってそれらが数クリックで完結する未来が現実味を帯びてきているのは、非常にポジティブな進展です。これは、単なる利便性の向上にとどまらず、グローバルな資本の流動性を高め、金融の民主化を促進する可能性があるからです。

また、発展途上国の投資家にとって、米ドル建て資産や米国株式にアクセスできる環境は、通貨下落による資産価値の減少を回避する手段としても魅力的です。これは、個人の経済的安定を支援するだけでなく、結果的にグローバルな経済インクルージョン（包括性）を促進する動きになると思います。

加えて、企業側にとっても、グローバルなクリプト市場から直接資金調達ができるようになることで、資本市場の構造そのものが大きく変わる可能性があります。特にスタートアップや中小企業にとっては、従来よりも柔軟かつ迅速に資金を集められる点で革新的です。

総合的に見て、トークン化は「技術的な利便性」を超えて、「経済アクセスの公平性」や「市場構造の再構築」といった深い変化をもたらす鍵になると考えております。今後の規制整備と技術発展のバランス次第で、このビジョンは数年以内に現実となる可能性が高いと思います。