
資金流出懸念でFDUSDがドルペッグ崩壊、ジャスティン・サン氏が発行元の「実質破綻」を主張

ステーブルコイン「First Digital USD(FDUSD)」が、発行元の財務健全性に関する疑惑を受けてドルとのペッグを失い、大きく値を下げた。疑惑の発端は、トロン(Tron)創設者であるジャスティン・サン氏が発行元のFirst Digital Trustについて「実質的に破綻状態にある」と主張したことによる。
FDUSDは一時0.95ドルまで急落し、その後0.97ドルまでやや回復したものの、依然として1ドルの価値を回復できていない状況が続いている。ステーブルコインとしての信頼性が揺らぐ中、市場関係者の間に不安が広がっている。
サン氏が「資金引き出し不可能」と指摘、発行元は猛反発
サン氏はSNS「X(旧Twitter)」で、First Digital Trustが現在「顧客資金の償還に応じられない状況」にあると指摘し、規制当局と法執行機関に迅速な対応を呼びかけた。
一方で、First Digital Trustはこの主張を真っ向から否定し、「2.5億ドル規模のFDUSDは米国債によって1対1で裏付けられている」と強調。今回の騒動を「誹謗キャンペーン」と位置づけ、法的措置も視野に入れていると表明した。
FDUSDは、かつてBinanceが提供していたBUSDのサポート終了後に同取引所内で重用されるようになったステーブルコインであり、現在も発行済みトークンの94%がBinanceに保有されているとされる。
TrueUSDにも波及、資金流用の可能性が浮上
今回の問題はFDUSDにとどまらず、関連する別のステーブルコイン「TrueUSD(TUSD)」にも波及している。報道によれば、サン氏は2020年にTrueUSDを買収した企業Techteryxを破綻から救済するため、4億5600万ドルもの支援を行ったとされている。
この背景には、First Digital TrustがTUSDの準備金を管理していたものの、本来資金を運用すべきケイマン諸島の投資ビークルではなく、ドバイの別企業に資金を移転したという疑惑がある。2022年半ばから2023年初頭にかけて、Techteryxが資金の償還を求めた際には「ほとんど、あるいは全く返金されなかった」との記録も存在する。
First Digital Trustは、これらの疑惑に対してはまだ法廷で反論の機会を与えられていないとし、X上で立場を表明している。
仮想通貨取引所Coinbaseのプロダクト責任者Conor Grogan氏は「FDUSDの時価総額は小さいが、今回の事態は業界にとって大きな意味を持つ」とコメントしており、ステーブルコイン市場全体に対する信頼性への影響が注目される。
GENAIの見解

FDUSDのように、Binanceなど主要取引所で広く利用されているステーブルコインがドルペッグを外れた影響は、単なる価格の揺らぎ以上に、信頼性の問題を提起しています。
ジャスティン・サン氏の発言は影響力が非常に大きく、実際に市場が動いてしまう点も無視できません。ただし、今回のように一方的な主張が事実と異なる可能性もあるため、投資家としては感情的な反応ではなく、根拠ある情報に基づいて判断する冷静さが求められます。
一方で、First Digital TrustがTrueUSDの準備金を第三者機関に不適切に移転していたという報道が事実であれば、ステーブルコインを取り巻くガバナンスの在り方が問われる重大な問題です。透明性の高い準備金の管理体制が構築されていなければ、ユーザーの信頼を維持することは難しいと考えます。
今後、規制当局の調査が進むことで事実関係が明らかになると思われますが、今回の件をきっかけに、すべてのステーブルコイン発行体に対してより厳格な開示義務と監査体制が求められるようになる可能性は高いです。
総じて、ステーブルコイン市場がより成熟するためには、単なる裏付け資産の存在だけでなく、その運用・管理における透明性と信頼性を確保するための規制整備と技術的な対応が急務であると感じます。