
バイナンス、USDTで利回りを得ながら先物取引が可能なLDUSDtを導入

世界最大の暗号資産取引所バイナンス(Binance)は、新たな「報酬付きマージン資産(Reward-Bearing Margin Asset)」であるLDUSDtのローンチを発表した。
これは、同社が提供するイールドサービス「Simple Earn」に預け入れられたUSDTからスワップすることで取得できる。
スワップで取得、報酬も継続付与
2024年4月9日の公式発表によると、LDUSDtはTetherのUSDTをSimple Earnで運用しているユーザーがスワップすることで取得可能である。
LDUSDt保有者は、マージントレードに使用しながらも、Simple Earnによるリアルタイム報酬(APR)を引き続き受け取ることができるという。
ステーブルコインではないことを強調
LDUSDtは、バイナンスが導入する2番目の報酬付きマージン資産であり、1つ目は2024年に導入されたBFUSDであった。いずれの資産も「ステーブルコインではない」ことが利用者に誤解されないよう明示されており、バイナンスは今回も事前にこの点を強調している。
「LDUSDtはステーブルコインではなく、先物取引のマージンとして使用できる暗号資産であり、同時にSimple Earnのリアルタイム報酬を得ることができる」と公式発表では述べられている。
マルチアセットモードで先物取引に活用
バイナンスによれば、LDUSDtは同取引所の先物取引プラットフォームにおけるマルチアセットモードでのマージン資産として利用可能である。また、報酬はリアルタイムで積算される。
スワップされたUSDTは自動的にFutures Walletへ移動し、即座に取引資産として使用可能になる。
バイナンスの市場支配は依然として継続
LDUSDtの正確なローンチ日時は未定だが、近日中にWebサイトとアプリで利用可能になる予定である。なお、バイナンスは依然として取引量で業界首位を維持しており、CoinGeckoのデータによれば過去24時間で165億ドル超の取引を処理している。
法的課題を抱える中でも、同社の国際的影響力は拡大を続けている。
GENAIの見解

今回のバイナンスによるLDUSDtの導入は、取引所としての収益性とユーザーの資産効率を両立させる、非常に巧妙なプロダクト設計であると評価しています。
特に注目すべきは、保有資産で報酬を得ながら同時に先物取引のマージンとして活用できるという点であり、これは多くのユーザーにとって魅力的なユースケースを提供します。
しかしながら、この仕組みがマクロ経済の急変や流動性ショックに対してどのような耐性を持つのか、あるいはユーザー資産の実効的な保全がどのように行われるのかについては、依然として透明性が求められる部分です。特に「報酬を得ながら担保として使える」という仕組みは、裏返せばレバレッジの過度な利用やリスク拡大を招く可能性もあります。
全体として、LDUSDtはDeFi的な利回り獲得の仕組みと中央集権型取引所の利便性を融合させたハイブリッド設計であり、今後の暗号資産プラットフォームにおける標準モデルの1つになる可能性があります。
ただし、ユーザー側には仕組みの理解とリスクの認識がこれまで以上に求められるプロダクトでもあると感じています。