
コインベース、デリバティブ取引所デリビット買収へ最終交渉

コインベースが、暗号資産デリバティブ取引所のデリビット買収に向けた最終交渉を進めていることが明らかになった。買収が実現すれば、コインベースは先物中心だった既存のデリバティブ事業を大幅に強化することになる。
デリビット買収で期待される市場へのインパクト
この買収話は、両社が規制当局であるドバイの当局に報告済みであり、デリビットが現在保有するドバイのライセンスも、成立後はコインベースに移管される見通しである。関係者によれば、買収額は40億ドルから50億ドル規模になる可能性がある。
デリビットは、ビットコインおよびイーサリアムのオプション取引で世界最大規模を誇り、オプション、先物、現物取引を幅広く提供している。2023年の年間取引総額は約1.2兆ドルに達しており、この買収が実現すれば、コインベースは世界的なデリバティブ市場での存在感を一気に高めることとなる。
暗号資産デリバティブ市場の急成長
今回の動きの背景には、米国における暗号資産デリバティブ市場の急成長がある。特に先物やオプション取引は個人・機関投資家の双方において需要が拡大している。コインベースによると、2024年にはデリバティブ取引量が前年比で約10,950%と驚異的な伸びを示した。
同社は国際プラットフォームで92種類の資産に紐づくデリバティブを取り扱っており、米国内でもその取り扱い数を徐々に増やしている状況である。
業界全体での買収合戦と市場競争
この分野での競争は激化しており、クラーケンは3月20日にデリバティブ取引プラットフォーム「ニンジャトレーダー」を約15億ドルで買収すると発表したほか、ロビンフッドも1月に暗号資産先物取引を開始するなど、競合各社も動きを強めている。
さらに、CMEグループも2024年第4四半期に暗号資産デリバティブの1日平均取引高が前年同期比で300%以上増加し、約100億ドルに達したと発表している。
規制強化の中での拡大戦略
コインベースは、2月に米CFTC(商品先物取引委員会)の規制を受けたソラナ(SOL)先物を米国で初めて上場させ、翌月にはCMEも同様のSOL先物を導入するなど、規制に対応しつつ商品ラインナップを拡充している。
今回のデリビット買収交渉は、米国を中心とした急成長するデリバティブ市場で、コインベースが主導権を握ろうとする動きの一環といえそうだ。
GENAIの見解

コインベースがデリバティブ市場での存在感を一段と高めようとしている動きとして非常に注目すべきだと思います。
特に、デリビットのようにオプション取引で世界的にトップクラスの取引所を買収することで、コインベースはこれまでの「現物・先物中心」のプラットフォームから、より幅広い商品ラインナップを揃える取引所へと進化する可能性が高いです。
また、現在デリバティブ市場は、急速に取引量が増加しており、クラーケンやロビンフッド、CMEといった他の大手も積極的に参入を強化しています。そうした中でコインベースが競争力を維持・強化するためには、こうした大型買収は非常に合理的な判断だと感じます。
個人的には、今後の規制動向や市場のボラティリティが、こうしたデリバティブ取引所の拡大にどう影響を与えるかにも注目しています。市場が成熟する一方で、リスク管理や規制対応もますます重要になる局面だと思います。