トランプ政権、戦略的ビットコイン準備の拡大を計画

トランプ政権が可能な限り多くのビットコインを取得する意向であることが明らかになった。ホワイトハウスの高官が今週、暗号資産業界のリーダーとの会合で発言した内容によると、米国政府の「戦略的ビットコイン準備」の規模に上限を設けるべきではないとしている。

ビットコイン購入計画の背景と影響

この発言は、火曜日にビットコイン政策研究所（Bitcoin Policy Institute）が主催した非公開の円卓会議でなされた。

デジタル資産に関する大統領特別作業部会の事務局長であるボー・ハインズ氏は、政権が可能な限り多くのビットコインを取得することに注力していると述べた。会合には、マイクロストラテジー共同創設者のマイケル・セイラー氏や、Marathon DigitalのCEOであるフレッド・ティール氏など、業界の著名人も参加していた。

法整備と戦略的ビットコイン準備

会合では、上院議員のシンシア・ルミス氏が再提出した「ビットコイン法案」に関する議論も行われた。

この法案は、米国政府が最大100万BTC（約800億ドル相当）を購入し、戦略的ビットコイン準備を法的に確立することを求めている。ハインズ氏は、この法案の支持を明言しなかったものの、ホワイトハウスとしては戦略的ビットコイン準備の法制化を推進し、議会での成立に向けて圧力をかける方針であることを示唆した。

米国政府の保有BTCと予算問題

現在、米国政府は約20万BTCを保有していると推定されているが、これらは主に犯罪捜査による押収品である。今回の方針が実行されれば、政府のビットコイン保有量は飛躍的に増加する可能性がある。ただし、ハインズ氏は「納税者に負担をかけず、予算中立の方法で取得する」と述べており、財源の確保が鍵となる。

ルミス氏の「ビットコイン法案」は、連邦準備制度（FRB）の保有する金証券を市場価格に再評価し、その収益をビットコイン購入に充てる計画だ。しかし、この方法が本当に予算中立といえるのかは議論の余地がある。今後、政権の具体的な取得計画や法案の進展に注目が集まることになる。

1. ビットコインの地位向上
   米国政府が積極的にビットコインを保有する方針を示すことで、ビットコインが「デジタル・ゴールド」としての役割をさらに強める。これにより、他の国々も国家戦略の一環としてビットコインを考え始める可能性がある。
2. 市場への影響
   米政府が大量のビットコインを買い集めることで、価格の上昇圧力がかかる可能性がある。一方で、政府が売却に転じた場合の市場リスクも無視できない。米政府の保有戦略が市場にどのような影響を与えるかは今後の焦点だ。
3. 「予算中立」の実現性
   ルミス議員の提案する「金証券の再評価」による資金調達が本当に機能するのかは疑問だ。実際に800億ドル相当のビットコインを「税負担なし」で購入することが可能なのか、財政面での課題が残る。
4. 規制と法整備の行方
   政府がビットコインを国家戦略に組み込む一方で、民間のビットコイン保有や利用に対する規制強化が進む可能性もある。ビットコイン法案がどのような形で成立し、政府と民間の関係がどうなるのかも重要なポイントだ。

総じて、これはビットコインの未来を左右する大きなニュースだ。

もし米国政府が本格的にビットコインを準備資産と位置付ければ、暗号資産市場全体の信頼性が増し、世界的なトレンドになる可能性がある。しかし、そのプロセスがどれほどスムーズに進むのかは慎重に見極める必要がある。