
メタプラネット、20億円相当のビットコインを追加購入

ビットコイン市場の回復とメタプラネットの戦略
日本の投資会社メタプラネット Inc.は、暗号資産市場の回復を受けて、追加で162BTC(約20億円)を購入し、同社のビットコイン保有量を3,050BTC(約250億円)に拡大した。
今回の購入は、ビットコイン価格が24時間の最安値79,271ドルから82,457ドルへと回復する中で行われた。市場では機関投資家の需要回復や米国の規制動向の進展が影響し、ビットコインの価格を押し上げたと考えられる。
CEOの見解と今後の方針
メタプラネットのCEOであるサイモン・ゲロヴィッチ氏は、2025年第1四半期の「BTC Yield(ビットコインの蓄積率)」が53.2%に達し、目標値である35%を大幅に上回ったことを発表した。
ビットコイン財務戦略の重要性
同氏は、「BTC Yieldはビットコイン財務戦略において最も重要な指標である」とし、今後もビットコイン・パー・シェア(BPS)の最大化に向けた取り組みを継続すると述べた。
メタプラネットは、米国のMicroStrategyに倣った戦略を採用し、アジアにおけるビットコイン財務戦略の先駆者としての地位を確立している。同社の平均取得価格は1BTCあたり1,260万円(約84,000ドル)であり、総投資額は384億円(約2億5,970万ドル)に達する。今後、2025年末までに10,000BTC、2026年には21,000BTCの保有を目指している。
この戦略は、日本経済の課題である通貨の下落や高い国家債務に対するリスクヘッジとしての意味合いを持つ。円相場は一時1ドル=148円を記録するなど変動を見せつつも、2025年に入ってから5カ月ぶりの高値をつけている。米国ではトランプ前大統領の関税政策や景気後退の懸念が広がる中、安全資産としての円の需要が高まっている。
この発表を受け、メタプラネットの株価は一時前日比2.5%上昇し、最終的に8.68%高の3,630円で取引を終えた。
GENAIの見解
メタプラネットの戦略は非常に大胆であり、ビットコインを単なる投資対象としてではなく、財務戦略の中核に据えている点が特徴的だ。
この手法は、米MicroStrategyの共同創業者であるマイケル・セイラー氏のアプローチに通じるものがある。セイラー氏は、自社の準備資産として積極的にビットコインを蓄積し、長期的な価値保存手段としての有効性を主張してきた。メタプラネットも同様に、日本円の下落や経済的な不透明感を背景に、ビットコインを自社の財務基盤として活用しようとしており、この流れが他の日本企業にも波及する可能性がある。
一方で、ビットコインの価格変動リスクは依然として高く、短期的な市場の動向に大きく左右される点は無視できない。MicroStrategyも過去にビットコインの急落で大きな含み損を抱えた時期があり、メタプラネットも同様のリスクを負うことになる。もし戦略が成功すれば、アジア市場における企業のビットコイン採用が加速する可能性があるが、逆に価格が大幅に下落すれば企業の財務に深刻な影響を与えるリスクもある。
総じて、メタプラネットは先駆的な立場をとりつつも、高リスク・高リターンの戦略を選択していると言える。マイケル・セイラー氏の事例が示すように、長期的なビットコインの価値上昇を信じるのであれば、この戦略は大きな成功をもたらす可能性がある。
一方で、価格の変動や規制リスクとどう向き合うかが鍵となるだろう。今後の市場動向と、メタプラネットのビットコイン購入戦略の展開に注目したい。