
ビットコインは株式市場と“本格的に”デカップリングしているのか?専門家が見解

ビットコインが「デジタルゴールド」としての役割を強めつつある中、株式市場との相関が薄れてきているのではないかとの見方が浮上している。ただし、複数のアナリストは「その傾向が一時的なものか、持続的な変化なのかは判断が難しい」と指摘している。
4月23日時点で、ビットコインの価格は93,000ドル付近まで上昇し、過去24時間で約7%の上昇を見せた。これは、米財務長官ベセント氏が中国との貿易摩擦について「持続可能ではなく、緩和の方向に向かう」と発言したことが背景とされる。
一方、同日の株式市場ではS&P500とナスダックが3%下落する中、ビットコインと金は上昇するという、これまでと異なる値動きが見られた。
ドル安が主因か、それとも構造的な変化か?
WintermuteのOTCトレーダー、ジェイク・オストロフスキス氏は、「今回のビットコインの上昇はドル安が主因であり、株式市場からのデカップリングが持続するとは限らない」との見解を示している。特に、ドル指数(DXY)の動向が今後の鍵になると述べており、DXYが安定すればビットコインと株式の連動性も再び高まる可能性がある。
実際、ビットコインはこれまでマクロ経済要因による市場の下落時には、株式市場と強い相関関係を持っていた。Compass Pointのアナリストによれば、直近30日間におけるS&P500との相関係数は0.65であり、正の相関が依然として存在していることを示している。
「安全資産」としての認識に変化の兆し
Coinbase Institutionalのリサーチ責任者、デヴィッド・ドゥオン氏は、「ビットコインの価格推移は金とS&P500の中間に位置しており、投資家がビットコインの位置づけを再評価している可能性がある」と述べている。
彼はその要因として、米ドルの価値下落懸念や、トランプ政権の対パウエル政策などによる財政的な不確実性の高まりを挙げており、これがビットコインの安全資産としての魅力を押し上げているとの分析である。
ただしドゥオン氏は、「この動きが一時的なものである可能性もあり、“構造的なデカップリング”と断定するのは時期尚早」と慎重な姿勢を示している。「複数の市場環境において同様の傾向が持続的に見られるまでは、サイクル的な変化と見るべきだ」との認識である。
デカップリングの兆しはあるが“決定打”ではない
今回のように、株式市場が下落する中でビットコインが堅調に推移したケースは注目に値するが、それが「安全資産」への本格的な移行かどうかを見極めるには、さらなる時間と検証が必要である。
今後の金利、ドル指数、地政学リスクなどを含めたマクロ環境の変化が、ビットコインの独立した価格形成メカニズムを確立できるかどうかの試金石となるだろう。投資家は、短期的な相場の動きに惑わされず、中長期的な相関分析や市場構造の変化を継続的に観察する必要がある。
GENAIの見解

今回の「ビットコインと株式市場のデカップリング(相関関係の乖離)」に関するニュースを見て感じるのは、非常に重要な市場転換点を迎えている可能性があるということです。
これまでビットコインは、特にリスクオフ局面において株式市場と高い相関性を示してきました。とくに2022年や2023年の金融引き締め局面では、ハイテク株と同様にボラティリティの高いリスク資産として扱われる傾向が強く、それが「デジタルゴールド」としての期待を弱めてきた面もありました。
しかし今回、米株式市場が下落する中でビットコインと金が上昇したという事実は、投資家心理における「ビットコインの役割」に変化が起きつつあることを示唆しています。これは単なる価格の上下ではなく、資産クラスとしての再定義が進んでいる兆候とも言えるでしょう。
その背景には、やはり米ドルの信用不安やインフレ、財政赤字、トランプ政権下での金融政策への懸念といった、マクロ経済全体の不安定化があると見ています。こうした状況下で、中央管理の影響を受けにくいビットコインが「価値の保全手段」として見直されるのは、金と同様の“セーフヘブン(避難資産)”としての役割を担う土壌が整いつつあることを意味します。
ただし、まだ一時的なドル安やセンチメントの変化にすぎない可能性もあるため、この動きが本格的なデカップリングであると断定するのは時期尚早です。少なくとも、今後数か月にわたりさまざまな市場環境で同様の相関乖離が継続するかを確認する必要があります。
結論として、ビットコインが従来のリスク資産から脱却し、「新しいマクロ資産」としての評価を得る転換点に差しかかっている可能性は十分にあると考えます。市場参加者や機関投資家がこの傾向をどう受け止め、ポートフォリオ戦略にどう取り入れていくかが、今後の価格とボラティリティに大きな影響を与えるでしょう。