ビットコインとイーサリアムの取引手数料が90%以上急落、ユーザーに恩恵

2024年4月と比較して、主要レイヤー1ブロックチェーンであるビットコインおよびイーサリアムの取引手数料が90%以上下落している。これにより、ネットワーク利用者はこれまでにないほど安価にブロックチェーン上の活動を行えるようになっている。

トランザクションコストが1年で大幅下落

2024年4月のビットコイン手数料は、トランザクション1件あたり平均16.16ドルに達し、特に半減期（ブロック高840,000）以降の値上がりが目立っていた。しかし、2025年4月18日（米東部時間午後8時時点）では、平均手数料は約5.1サトシ/バイト（約0.913ドル）と大幅に低下している。

急ぎの取引でさえ、3サトシ/バイト（約0.35ドル）で次のブロックに組み込まれる状況であり、1年前の約24万件あった未承認トランザクションは、現在わずか2万1,000件にまで減少している。

イーサリアムもガス代急減、取引コストが1セント以下に

イーサリアムの取引手数料も、2024年同時期と比べて92.36%の下落を記録している。2024年4月18日時点では1件あたり約4.03ドルだったのに対し、2025年4月18日には約0.31ドル（0.00019 ETH）となっている。

ガス価格も過去最低水準に

EtherscanのGas Trackerによると、現在のガス代は1 gwei以下で推移しており、優先トランザクションでも0.406 gwei（約0.01ドル）で約30秒以内に完了する水準である。

より複雑な取引でもコストは抑えられており、トークンスワップで最大0.22ドル、NFTの売却で0.37ドル、ブリッジ処理では0.07ドル、借入処理は0.37ドル程度に収まっている。

昨年同時期では、優先ETH送金が約19 gwei（約1.16ドル）、スワップは約20.73ドル、NFT売却は35.03ドルを要していたことを考えると、極めて大きな改善といえる。

ネットワーク利用促進とDeFiの加速

手数料の急落は、ブロックチェーン利用のハードルを大幅に下げ、個人ユーザーだけでなく開発者やスタートアップにとっても恩恵となる。DeFiやNFT、トークンブリッジなど複雑な操作が安価に行えるようになることで、ネットワーク全体のアクティビティとユーザー数の増加が期待される。

また、取引コストの低下により、L2ネットワークや代替チェーンへの移行圧力も一部緩和され、ビットコインおよびイーサリアム本体の価値向上につながる可能性がある。

この費用構造の変化は、Web3インフラにおける重要な転換点であり、分散型経済の普及に拍車をかける追い風といえるだろう。

ブロックチェーンの利用における最大の課題の一つは「手数料の高さ」でした。特に2024年のように、ネットワークが混雑した際には、ユーザーが1回の取引に十数ドルものコストを支払わなければならない状況が常態化しており、多くの個人投資家や小規模プロジェクトの参入障壁となっていました。

しかし今回のように、ビットコインとイーサリアムのトランザクション手数料がそれぞれ90%以上も減少したことは、ネットワークの効率化やスケーラビリティ改善が進んでいる証拠といえます。さらに、レイヤー2ソリューションやオフチェーン技術の発展、ネットワーク混雑の緩和が功を奏している可能性もあります。

また、こうした環境下では、DeFi、NFT、ゲームFiなど多様なユースケースの利用が活発化しやすくなり、ブロックチェーン技術の社会実装が一段と進むことが予想されます。とりわけ、開発者やスタートアップにとってはコスト効率の面で大きな追い風となり、革新的なアプリケーションが次々と登場する土壌が整ってきたと感じています。

今後もこの傾向が継続すれば、仮想通貨市場のさらなる拡大とユーザー層の多様化が期待できるため、非常に前向きな材料だと考えております。