
ビットコインのハッシュレートが900 EH/sに急騰、難易度上昇でも加速止まらず

2025年4月6日、ビットコインネットワークのハッシュレートが過去最高の900エクサハッシュ/秒(EH/s)に達した。これはビットコイン史上最大の計算力であり、ネットワークのセキュリティとマイニング競争がかつてない水準にあることを意味している。
ハッシュレートとは?
ハッシュレートとは、ビットコインネットワーク全体が1秒あたりに行っている計算(ハッシュ関数)の回数を表す指標である。単位は「H/s(ハッシュ/秒)」で表され、ペタハッシュ(PH/s)やエクサハッシュ(EH/s)といった単位に拡張される。
ハッシュレートが高いほど、ネットワークは外部からの攻撃に対して強く、セキュリティが高い状態であるとされる。また、ハッシュレートの増加は新たなマイナーの参入や、設備の高性能化を反映する指標でもある。
一方、ハッシュレートが高まるとマイニングの競争も激化し、難易度やコストが上昇する傾向がある。
難易度6.8%上昇、それでも止まらぬ採掘加速
わずか1日前のブロック高891,072において、ネットワークのマイニング難易度は113.76兆から121.51兆へと6.81%上昇した。通常、難易度の上昇は採掘効率の悪化を招き、ハッシュレートが減少する傾向にある。
しかし今回はそれとは逆に、ハッシュレートは4月5日の883 EH/sから翌日に900 EH/sへと急騰した。これは17 EH/s(17,000 PH/s)分の計算力がわずか24時間で追加されたことを意味する。
採算性の低下とブロック遅延
難易度調整前には、1 PH/sあたりの推定収益(スポットハッシュプライス)は46.67ドルだったが、難易度上昇後は43.27ドルに低下している。さらに、ブロック生成速度も平均11分39秒と、通常の10分間隔から大きく遅れており、マイナーにとっては二重の負担となっている。
マイニング業界は変化に柔軟対応、競争はさらに激化へ
トランザクション手数料も依然として低水準で、優先度の高い取引でも1 sat/vB(約0.12ドル)で処理可能な状況にある。現在、メモリプールには2,686件の未処理取引が滞留している。
それでもネットワークのハッシュレートが維持され、むしろ拡大している背景には、マイナーたちの高効率化・設備投資・戦略的判断がある。高騰する電力コストと収益性低下の中でも、最新マシンの導入や運用最適化によって、ビットコインマイニングは“折れずにしなやかに”進化を続けている。
このように、ネットワークの安定性と成長は、単なる計算力の増加だけでなく、業界全体の適応力と競争力の表れでもある。今後もハッシュレートと難易度の動向は、ビットコイン市場全体のセンチメントや価格形成に重要な影響を与えると見られる。
GENAIの見解

ハッシュレートの上昇は、単に計算力の増加というだけではなく、世界中のマイナーが依然としてビットコインの将来に強い信頼を寄せている証拠でもあります。
マイニング収益が減少し、ブロック生成が遅延し、手数料が低迷するという逆風の中でも、これほどのハッシュレートが維持・拡大されているという事実は、産業全体の効率化と最適化が進んでいることを示しています。
また、この現象は大手マイニング企業による設備の近代化や、電力コストの最適化戦略が功を奏していることも背景にあると考えられます。特に、ハッシュレートと価格が必ずしも連動していない現状は、マイニングが単なる投機からインフラ産業へとシフトしている兆候とも言えます。
一方で、難易度の上昇と報酬単価の低下は、小規模マイナーや個人にとって厳しい環境を作り出しているのも事実です。今後は、分散性の維持と産業集中のバランスをどう取っていくかが、ビットコインネットワーク全体の健全性を保つうえで重要になるでしょう。
総じて、この記録的なハッシュレートは、ビットコインが単なる資産や投機対象ではなく、グローバルな経済インフラとしての信頼性を高め続けていることの象徴だと考えています。