トランプ家関与のビットコインマイニング企業がIPO検討、Hut 8が資本参入しAI分野にも多角化

トランプ家関与のビットコインマイニング企業「American Bitcoin」がIPO検討、Hut 8が資本参入

トランプ家が関与するビットコインマイニング企業「American Bitcoin Corp.」が、新規株式公開（IPO）による資金調達を検討していることが明らかになった。

ブルームバーグの報道によれば、同社はすでに上場ビットコインマイニング企業「Hut 8」から過半数の出資を受けており、将来的な上場が視野に入っている。

今回の取引により、Hut 8は自社のビットコインマイニング装置をAmerican Bitcoinに移管。American Bitcoinは今後、ビットコインマイニング事業に専念し、一方でHut 8はAIや高性能コンピューティング（HPC）向けのデータセンター事業へと軸足を移す方針である。両社は「姉妹上場企業」として、統合的かつ効率的な経営モデルを目指すという。

マイニング企業がAI分野へ多角化、ハーフィング後の収益圧力に対応

2024年4月に実施されたビットコインの「半減期（ハーフィング）」により、マイニング報酬が半減し、ビットコインマイニング企業の収益性は大きな打撃を受けている。その結果、多くのマイナーがAIや高性能コンピューティングのホスティングといった新たなビジネスモデルへの転換を進めている。

Coin Metricsは、「ビットコインマイニング企業は、既存のインフラを活用しながらAI関連のデータセンターサービスへと多角化している」と指摘。また、JPMorganのレポートでは、2025年の暗号資産価格の下落がマイナーにさらなる収益圧力をかけていると報告されている。

American Bitcoinは現在、中国のマイニング機器大手Bitmainと提携しているが、同社のAI部門が米政府の制裁対象となっていることもあり、今後は規制リスクへの対応も課題となる見通しである。

American BitcoinがIPOを検討しているという点は、マイニング業界にとって非常に前向きなシグナルです。2024年のハーフィングによってマイニング報酬が半減し、業界全体が収益性の維持に苦しむ中で、資本市場を活用した資金調達は、生き残りをかけた戦略の一環と捉えられます。

さらに、Hut 8との連携により、マイニング事業とAI・HPC分野との分業体制が構築されることで、ビジネスモデルの多角化とリスクヘッジが可能になります。このような垂直統合の動きは、長期的にはより安定した収益構造を築く上で重要な戦略です。

ただし、中国のBitmainとの関係や、AI部門が米政府の規制対象となっているリスクについては慎重に見守る必要があります。特に米中間の地政学的緊張が高まる中で、規制リスクが事業の成長を制限する可能性も否定できません。

総合的に見て、American BitcoinのIPO検討とHut 8の事業再編は、ビットコインマイニング業界の次なる成長フェーズを示唆するものであり、他のマイナーにとっても今後のモデルケースとなる可能性が高いと考えています。