Suiベースの「DeepBook（DEEP）」がUpbitに上場、価格が一時97％急騰

韓国最大手の暗号資産取引所Upbit（アップビット）は、Sui（SUI）エコシステム上で構築されたDeepBook（DEEP）を新たに上場すると発表し、これを受けてDEEPの価格が一時97％以上急騰する展開となった。

発表によると、DEEPは4月23日（火）より、Suiネットワーク上の取引ペアとしてUpbitで取り扱いが開始される。

分散型オーダーブック「DeepBook」、SuiのDeFi基盤に

DeepBookは、Suiブロックチェーン上で動作する分散型のセントラルリミットオーダーブック（CLOB）であり、従来の中央集権型取引所に類似した注文板機能をオンチェーンで実現している。プロジェクトの説明によれば、「DeepBookは中立的な取引プラットフォームとして設計され、パーミッションレスで利用可能なCLOBとして、DeFiの基盤を構築することを目的としている」とされている。

すでにCetus、Aftermath、Kriya、FlowX、Hop Aggregatorといった複数のSui系プロトコルがDeepBookを流動性ソースとして採用しており、DeFiユーザーにとって活発なマーケット形成を支えている。

Aftermathは、DeepBookの高速処理能力と低レイテンシが、中央集権型取引所と同等の取引体験を提供できると評価しており、「完全オンチェーンでありながら高い流動性を実現する稀有な存在」であると述べている。

初回エアドロップやトークン配分にも注目集まる

DeepBookの最大供給量は100億トークンであり、このうち10％はコミュニティへの初回エアドロップとして配布される予定である。また、約31％がコア開発者および初期支援者に、残りの約59％は将来的なグラント、コミュニティプログラム、イニシアチブ用に割り当てられている。

DEEP価格は急騰後に調整、時価総額は2億ドル台に到達

Upbitの上場発表を受け、DEEPは前日の安値$0.0842から翌日の高値$0.166へと97％以上の上昇を記録。その後は一時的に調整が入り、執筆時点では$0.118で推移しており、日中でも30.2%の上昇を維持している。

DEEPの時価総額は現在2億9,510万ドルで、CoinGeckoのランキングでは第204位に位置している。

Upbitは韓国市場で高い影響力を持ち、同取引所での新規上場はこれまでにも数多くのアルトコイン価格に即時的な影響を与えてきた。今回のDEEP上場もその一例であり、Suiエコシステムの成長とともにDeFi分野における注目プロジェクトとしての地位を固めつつあるといえる。

韓国市場は暗号資産の取引量が非常に多く、特にアルトコインの短期的な価格変動に大きな影響を及ぼす傾向があります。今回のDEEPも、上場直後に約97％という急騰を記録しており、市場の反応は極めて顕著でした。

さらに、DeepBook自体が持つ技術的意義も重要です。オンチェーンで動作するCLOB（セントラルリミットオーダーブック）という設計は、DeFiの分野ではまだ発展途上でありながらも、取引体験の質を大幅に向上させる可能性を秘めています。中央集権型取引所に匹敵する流動性と取引スピードを分散型で実現しようとする試みは、今後のDeFi進化において非常に重要な役割を果たすと見ています。

また、Suiブロックチェーンが持つスケーラビリティや高速性との相性も良く、すでに複数のDeFiプロトコルがDeepBookを流動性ソースとして採用している点も、このプロジェクトが“実用性”のある技術であることを裏付けています。

一方で、今回の価格急騰は短期的な投機的要素も大きく、すでに価格は高値からある程度調整されており、今後のトークンの実用性、プロトコルの成長、コミュニティ形成が問われるフェーズに入ったと言えるでしょう。

総じて、今回の上場は単なる価格イベントにとどまらず、Suiエコシステム内でのインフラ的プロジェクトが市場からどう評価されるかを示す一つの指標となりました。今後のDeepBookの進展と、Sui上のDeFi全体の動向には引き続き注視する必要があります。