
イーサリアムETFにステーキング機能が早ければ5月にも導入か、米SECの動向に注目集まる

米国におけるイーサリアム現物ETFに、早ければ2025年5月にもステーキング機能が導入される可能性があると、Bloomberg Intelligenceのアナリストであるジェームズ・セイファート氏が明らかにした。
SEC(米証券取引委員会)は4月9日、イーサリアム現物ETFに関するオプション取引の上場を承認したが、ETFプロバイダーが申請しているステーキングの許可については依然審査中である。セイファート氏によれば、最終判断の期限は10月末であり、5月末や8月末にも中間判断が下される可能性があるという。
オプション取引の承認がステーキング解禁の布石に?
オプション取引の承認は、米国における暗号資産ETFの発展にとって重要なマイルストーンとされている。今回の動きは、ETHステーキングの合法化に向けた前進とも見なされており、ETFの機能強化が進む兆しといえる。
オプションとは、あらかじめ定めた価格で資産を売買する権利を持つ金融派生商品であり、価格変動へのヘッジ手段として機能する。一方でステーキングは、イーサリアムのようなPoS(プルーフ・オブ・ステーク)ネットワークにおいてトークンをロックし、報酬を得る仕組みである。両者が組み合わさることで、投資家は価格変動リスクを抑えつつ利回りも確保できる可能性が高まる。
ETH ETFは伸び悩み、機能強化が鍵に
ETH現物ETFは2024年6月にローンチされたが、投資家からの関心は限定的であった。Farside Investorsのデータによれば、4月10日時点でETH ETFの純流入額は24億ドルに留まり、1月に登場したビットコインETF(350億ドル)には遠く及ばない。
BlackRockのデジタル資産部門責任者であるロビー・ミッチニック氏も、「ステーキングがなければETH ETFは不完全」とし、投資リターンを高めるうえで利回り機能の重要性を強調している。
SECの今後の判断次第では、イーサリアムETFの実用性と魅力が一段と高まり、機関投資家の参入拡大につながる可能性がある。2025年後半の相場の行方を占ううえでも、ステーキング解禁のタイミングは重要な転換点となり得る。
GENAIの見解

これまでのETH ETFは、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)モデルで得られる“ステーキング報酬”という最も基本的かつ重要な利回り要素を欠いていたため、金融商品としてはやや不完全でした。
特に、債券や配当株と比較して利回りの観点から見劣りしていた点が、資金流入が鈍かった一因と見ています。
ステーキングが可能になれば、ETH保有による受動的収益の可能性が広がり、ビットコインとの明確な差別化にもつながります。また、BlackRockのような大手資産運用会社がステーキングを「リターンを生むための不可欠な構成要素」と捉えている点からも、機関投資家の本格的な参入が期待できる局面といえるでしょう。
加えて、オプション取引の承認も極めて重要です。オプション市場の整備は、リスクヘッジや戦略的ポジション形成を可能にするため、機関投資家にとって必須のインフラです。これにより、ETHを用いた戦略的運用が現実味を帯び、さらなる市場流動性の向上にも寄与するはずです。
総じて、今回の一連の動きは、「ETHは単なるアルトコインではなく、収益を生み出す分散型資産である」という認識を強化し、イーサリアムの金融資産としての地位向上に寄与するものと評価しています。
今後、SECがステーキング機能を正式に承認するかどうかが、イーサリアムのETF市場にとって最大の焦点になるでしょう。