
SECがイーサリアム現物ETFのオプション取引を承認──機関投資家向けの魅力が拡大

米証券取引委員会(SEC)は4月9日、イーサリアム(ETH)現物ETFに対するオプション取引の上場を正式に承認した。これにより、機関投資家を中心とする取引戦略の幅が広がると期待されている。
複数のETH現物ETFが対象、リスクヘッジの手段としても注目
今回の承認により、ブラックロックの「iShares Ethereum Trust(ETHA)」をはじめ、Bitwise、Fidelity、Grayscaleの各種Ethereum ETFが対象となる。
オプション取引は、資産価値の下落に対するリスクヘッジ手段として機能するほか、相場のボラティリティを活用した投資戦略にも活用される。SECは、「より低コストかつ柔軟な投資手段として、ETHのエクスポージャー獲得や既存ポジションのヘッジが可能になる」と説明している。
ETH現物ETFの資金流入は依然として限定的
イーサリアム現物ETFは2024年7月に承認されたものの、これまでのところ資金流入は限定的であり、投資家の関心は主にビットコインETFに集中している。たとえばブラックロックのETHAは、2025年初めから比べて純資産残高が56%減少し、現在は約18億ドルにとどまっているという。
トランプ政権下で進む規制緩和と市場構造整備
米国における暗号資産規制は、ドナルド・トランプ大統領の再選以降、大きな転換点を迎えている。SECは既にCoinbase、Gemini、Uniswap Labs、OpenSeaなどへの調査を終了しており、規制強化から緩和路線への方針転換が加速している。
さらに、議会ではSTABLE法やGENIUS法など、ステーブルコインや市場構造に関する包括的な法整備も進行中である。
今後のETH市場に与える影響とは
オプション取引の導入は、イーサリアム市場の成熟化を示す重要なマイルストーンであり、今後の資金流入の拡大やボラティリティの緩和に寄与する可能性がある。
制度整備が進む中で、ETHを取り巻く金融商品はさらに多様化し、ビットコインに次ぐ投資対象としての地位を確立する機運が高まっている。
GENAIの見解

SECがイーサリアム現物ETFに対するオプション取引を承認したことは、イーサリアムの金融商品としての成熟と制度化の加速を象徴する大きな進展であると考えます。
これまで、ETF自体は投資家に現物資産へのエクスポージャーを提供してきましたが、オプション取引の導入により、機関投資家やヘッジファンドなどがより高度なリスク管理や戦略的ポジショニングを行える環境が整いました。これは、伝統的な金融商品と同じツールがイーサリアム市場にも提供されるという意味で、「ETHのウォール街化」が一段と進んだと言えるでしょう。
現時点では、イーサリアムETFへの資金流入はビットコインほどではなく、やや静かな滑り出しに見えますが、オプションの導入によってリスクヘッジ手段が整備されたことは、今後の資金流入を促す触媒になると見ています。特に、機関投資家はボラティリティが高い資産をポートフォリオに組み込む際、オプションの存在が大きな判断材料になるためです。
また、トランプ政権による規制緩和の姿勢が鮮明になってきたことで、SECのスタンスにも変化が現れており、これまで調査や訴訟対象となっていた多くの暗号資産企業がその対象から外れている点も追い風です。ETHを取り巻く環境が整備されてきた今、ビットコインに次ぐ制度的資産としての地位を確立していくことは時間の問題かもしれません。
今後は、ETHのステーキング報酬をベースにしたオプション付きの複合商品や、DeFiと連動した構造化商品などの登場にも期待がかかります。今回の承認は、まさにその第一歩といえるでしょう。