イーサリアムテストネットHolesky、Pectraアップグレードの遅延の中で最終段階に到達

イーサリアムのテストネットHoleskyが最終段階に到達した。これは、Pectraアップグレードの遅延や技術的課題が続く中での重要な進展である。今回のPectraアップグレードは、2022年のThe Merge以来最大のものとなる。

Holeskyが最終段階に到達

Holeskyが最終段階に到達したのは、3月10日午後3時（ET）である。イーサリアムコミュニティは、メインネットへの影響を避けるため、これらのテストネットを活用してアップデートを試行している。ファイナリティとは、Holesky上のすべてのトランザクションが不変かつ取り消し不可能になったことを意味する。

Pectraアップグレードは当初、2025年3月に予定されていたが、テストネットの展開中に発生した技術的な問題を受け、開発者にさらなる準備時間を確保するために延期された。Holeskyは2月24日に初めて稼働したが、ネットワークの不安定性によりファイナリティの達成が遅れていた。

Holeskyと並行するテストネットSepoliaは、3月5日に最終段階に到達したものの、カスタムデポジットコントラクトのエラーによる問題に見舞われた。この問題は開発チームによるサイバー攻撃が原因とされており、数時間後に修正された。今後のステップとして、開発者は”シャドーフォーク”と呼ばれるHoleskyの一時的なコピーを作成し、問題解決を図る計画である。

イーサリアム財団はPectraの新たなリリース日をまだ発表していない。イーサリアム財団の研究者Alex Stokes氏は、最新の開発者会議で「Holeskyの状況やシャドーフォークの進行を見極めた上で、具体的な日程を決定する必要がある」と述べた。

また、イーサリアムのETH価格は最近の取引で大幅に下落しており、過去24時間で10.0%、前年比で52.5%の下落を記録している（CoinGecko調べ）。

Pectraアップグレードの新たなリリース日と今後の展望

Pectraアップグレードでは、スケーラビリティや効率、ステーキングの改善が見込まれている。

特に、ETH以外の仮想通貨（ステーブルコインなど）でのガス料金支払いを可能にする”アカウント抽象化”の導入や、ステーキング可能なETHの上限を32ETHから2,048ETHに引き上げる変更が予定されている。さらに、Verkle Treesと呼ばれる新しいデータ構造も導入される予定である。

このニュースは、イーサリアムの技術的進化とその課題の両方を浮き彫りにしている。

Holeskyの最終段階到達は、Pectraアップグレードに向けた重要な進展だが、度重なる遅延や技術的課題が開発の難しさを示している。一方で、Pectraによるスケーラビリティ向上やステーキングの強化は、イーサリアムのエコシステム全体にとってプラスの影響をもたらす可能性がある。

今後のシャドーフォークの結果次第で正式なリリース時期が決まるため、引き続き開発の進捗を注視する必要があるだろう。