仮想通貨業界、ビットコイン準備金より政策明確化を求める

仮想通貨業界の関係者は、米国政府による規制の明確化が、トランプ前大統領の「ビットコイン準備金」構想よりも重要であると主張している。

トランプ氏は3月6日、大統領令を発出し、米国の戦略的ビットコイン準備金およびアルトコインのデジタル資産備蓄の設立を命じた。しかし、業界の期待に反し、政府が新たに仮想通貨を購入するのではなく、当局が押収したデジタル資産を活用する方針が示された。この決定に市場は反応し、ビットコイン価格は発表以降約13%下落し、アルトコイン市場も400億ドル以上の時価総額を失った。

業界関係者は、この状況が政策の不透明感によってさらに悪化する可能性を指摘する。Web3 AIスタートアップKindredのCEO、マックス・ジアマリオ氏は「市場はイノベーションのロードマップと、ステーブルコインや機関投資家の採用、課税に関する明確な指針を求めている」と述べ、現状の曖昧な対応が不確実性を深めていると批判した。

一方、仮想通貨ウォレット企業Bitget WalletのCOO、アルヴィン・カン氏は「トランプ政権がステーブルコイン、ETF、機関投資家向けの規制を明確にすれば、アルトコイン市場は回復する可能性がある」としつつ、「そうでなければ、マクロ資産としてのビットコイン優位が続くだろう」との見解を示した。

それでも、一部の業界関係者は楽観的な見方を持っている。Gunzilla GamesのWeb3ディレクター、セオドア・アグラナト氏は「トランプ政権の仮想通貨政策の未来はまだ見えないが、仮想通貨に好意的な人材が要職に就いていることを考えれば、前向きな政策が継続的に打ち出されることが期待できる」と述べた。

このニュースを見る限り、トランプ氏の「ビットコイン準備金」構想は、業界の期待とはズレがあるように感じる。市場が求めているのは、政府による仮想通貨の直接購入ではなく、明確な規制と指針だ。特に、ステーブルコインの扱いやETFの承認、機関投資家向けのルール整備が進めば、より多くの資金が仮想通貨市場に流入し、アルトコイン市場の低迷も改善される可能性がある。

一方で、トランプ政権は仮想通貨に好意的な人材を配置しており、今後の政策次第では、長期的に業界にプラスの影響をもたらす可能性もある。ただし、「ビットコイン準備金」構想が現状のように形だけのものに終わるならば、市場の失望は続き、ビットコイン以外の資産は苦戦するだろう。

結局のところ、仮想通貨市場の成長には規制の明確化が不可欠であり、単なる政治的パフォーマンスではなく、具体的な政策が求められる段階に来ていると言える。

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