
スペイン大手BBVA銀行、ビットコインとイーサリアム取引サービスを開始へ

スペインの大手銀行であるBBVA(Banco Bilbao Vizcaya Argentaria)が、顧客向けにビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の売買および管理が可能な取引サービスを提供することを発表した。サービスはまず一部の顧客に限定して提供され、数カ月以内にスペイン国内のプライベートバンキング利用者へと拡大される予定である。
この決定は、BBVAが欧州連合(EU)の「暗号資産市場規制(MiCA)」の要件を満たし、スペイン証券市場委員会(CNMV)の必要な手続きを完了したことを受けたものである。ただし、現時点ではプライベートバンキングの顧客のみが対象となり、一般の個人顧客への展開については未定である。
BBVAはすでにスイスで2021年から同様の暗号資産サービスを提供しており、2025年1月にはトルコの子会社Garanti BBVA Kriptoを通じて暗号資産取引を開始している。今回のスペインでの展開は、欧州の銀行における暗号資産取引のさらなる普及を示す動きといえる。
暗号資産取引を一般消費者向けに提供する銀行はまだ少数派であり、英国のRevolutが2017年から個人向けにサービスを提供している例があるが、依然として主流ではない。一方、スイスのDukascopy Bankのように、伝統的な銀行業務と暗号資産取引を組み合わせたモデルを採用する金融機関も増えている。MiCAの施行により規制が明確化されたことで、欧州の大手銀行が暗号資産サービスへ参入しやすくなっている。
さらに、欧州の一部の銀行は暗号資産取引サービスにとどまらず、ビットコインを企業資産として保有する動きを見せている。例えば、イタリア最大手の銀行Intesa Sanpaoloは今年1月に11BTC(約100万ユーロ)を購入し、イタリアの銀行として初めてビットコインへの直接投資を行った。銀行業界における暗号資産の位置づけは、今後さらに変化していくことが予想される。
BBVAの動きは、欧州における伝統的な銀行と暗号資産の融合が着実に進んでいることを示しており、非常に興味深い展開だと考える。特に、MiCAの施行によって規制の枠組みが整い、銀行が暗号資産サービスを提供しやすくなったことが大きな要因だろう。
一方で、今回のサービスがまずプライベートバンキングの顧客に限定される点は、銀行側の慎重な姿勢を反映している。資産要件を満たす顧客に限定することで、リスク管理を徹底しながら運用実績を積み、今後の一般顧客向けサービス拡大の足がかりにする狙いがあるのかもしれない。
また、BBVAはすでにスイスやトルコで同様のサービスを提供しており、今回のスペインでの展開はその延長線上にある。これが成功すれば、他の欧州の大手銀行も追随し、伝統的な金融機関と暗号資産市場の融合がさらに加速する可能性がある。
今後のポイントは、一般消費者向けにサービスがどのように展開されるか、そして他の欧州の銀行がどのような動きを見せるかだ。特に、Intesa Sanpaoloのように暗号資産を自らの資産として保有する銀行が増えれば、金融業界全体における暗号資産の位置づけが大きく変わるかもしれない。
総じて、BBVAの動きは伝統的な銀行と暗号資産の接点を広げる重要な一歩であり、今後の欧州の金融市場に大きな影響を与える可能性がある。