
Coinbaseが米国で24時間365日取引可能なビットコイン・イーサリアム先物を提供へ

暗号資産取引所大手のCoinbaseは、米国の顧客向けにビットコインとイーサリアムの先物取引を24時間365日提供すると発表した。同社のデリバティブ取引プラットフォーム「Coinbase Derivatives」を通じて数週間以内にサービスが開始される予定である。
この新サービスにより、トレーダーは「暗号資産と同様に、中断なくリスク管理と投資機会の獲得が可能になる」とCoinbaseは述べている。さらに、「暗号資産トレーダーの強い需要に応える形で開発されたこのサービスは、米国市場のアクセス性、競争力を向上させ、グローバルスタンダードに適合するものだ」とも発表した。
先物取引とは、あらかじめ決められた価格で特定の資産(今回の場合はビットコインやイーサリアム)を将来の特定の期日に売買する契約のことである。Coinbaseは、トレーダー向けにさまざまなサイズの契約を提供するとしている。特に「マイクロ先物」と呼ばれる、基礎資産の一部を取引できる商品も含まれる。
現在、暗号資産のデリバティブ市場はスポット市場よりも規模が大きい。CoinGeckoのデータによると、過去24時間でスポット市場の取引高は1510億ドルだったのに対し、デリバティブ市場では8790億ドルに達している。このことからも、先物取引の重要性が浮き彫りとなる。
Coinbaseはまた、長期満期型のパーペチュアル先物の提供も検討している。海外の取引所では既に24時間365日稼働する暗号資産の先物取引が一般的となっており、Coinbaseも競争力を強化する狙いがある。同社は2022年にCFTC(米商品先物取引委員会)に規制されたデリバティブ取引所FairXを買収し、「Coinbase Derivatives Exchange」としてリブランドしている。
Coinbaseのこの動きは、米国の暗号資産市場にとって大きな一歩だと考える。特に、24時間365日取引できる先物市場は、すでに海外の取引所では一般的だが、米国内ではまだ限られていた。これにより、米国のトレーダーもより柔軟に市場へアクセスできるようになり、グローバルな競争力が向上するだろう。
また、デリバティブ市場の規模がスポット市場を大きく上回る現状を考えると、Coinbaseがこの分野に注力するのは合理的な戦略だ。特に、マイクロ先物の提供は、より幅広い投資家層を取り込む狙いがあり、機関投資家だけでなく個人投資家の参加も促進する可能性がある。
一方で、米国の規制環境は依然として不透明であり、CFTCの規制を受けたFairXを買収したとはいえ、今後の政策変更によっては新たな課題が出てくるかもしれない。その点をどう乗り越えていくかが、Coinbaseにとっての次の鍵になりそうだ。