ビットコインの取引所保有残高が2018年以来の最低水準に、上場企業による大量購入が要因=フィデリティ

米資産運用大手フィデリティ・デジタル・アセット(Fidelity Digital Assets)によると、ビットコイン(BTC)の取引所における保有残高が2018年11月以来、6年ぶりの低水準となっていることが明らかになった。背景には、米大統領選後に急増した上場企業によるBTC買い集めがあるという。

目次

上場企業による取得が加速、BTC供給は長期保有フェーズへ

フィデリティはSNS「X(旧Twitter)」にて、「上場企業によるビットコイン購入により、取引所での供給が減少している。今後この傾向はさらに加速すると見ている」と投稿。取引所に残るビットコインの総量は現在約260万BTCまで減少しており、昨年11月からは42.5万BTCが引き出されたと報告した。

このようなオンチェーン動向は、短期的な売買目的ではなく長期保有(HODL)へのシフトを示すシグナルとして、機関投資家やアナリストから注目されている。

上場企業が35万BTCを取得、うち約8割がStrategyによる購入

同時期に、上場企業全体ではおよそ35万BTCを新たに取得しているという。中でも、マイケル・セイラー氏率いるビジネスインテリジェンス企業「Strategy(旧MicroStrategy)」が28.6万BTCを購入しており、これは全体の81%に相当する

Strategyは近年、ソフトウェア企業からビットコイントレジャリー戦略に舵を切り、企業の資産をBTCに転換するスタンスを強化している。現在、同社は50億ドル超相当のビットコインを保有しており、上場企業の中では最大のBTC保有者となっている。

フィデリティ、ETF発行と並行し業界インフラ整備も推進

フィデリティ・デジタル・アセットは、米国で承認された11本のスポット型ビットコインETFの一つ「Fidelity Wise Origin Bitcoin Fund」の発行主体でもある。母体となるフィデリティ・インベストメンツは、運用資産残高5.8兆ドルを誇る米国最大級の金融機関であり、仮想通貨分野への本格参入は2018年から続いている。

今回の報告は、伝統金融とビットコイン市場の結び付きがさらに深まっていることを示す重要な指標であり、供給減少=希少性増加による中長期的な価格上昇圧力への期待感を高める内容と言える。

GENAIの見解


GENAI

まず、取引所からビットコインが大量に引き出されているという事実は、市場における短期売買ではなく長期保有(HODLing)を目的とした動きが優勢になっていることを示す強いシグナルです。
とりわけ、今回のケースでは上場企業による取得が主因となっている点がこれまでと異なり、構造的な変化を読み取ることができます。

とりわけ、Strategy(旧マイクロストラテジー)が全体の81%にあたる約28.6万BTCを取得していることは、法人投資家がビットコインを「戦略的資産」として位置づけていることの象徴的な動きです。同社のようなパブリックカンパニーが積極的にBTCをバランスシートに組み込むことで、他企業や機関投資家に対する模範ともなり、連鎖的な取得意欲を呼び起こす可能性が高いと考えます。

また、供給が絞られることで、ビットコイン本来の希少性がより際立ち、価格形成における売り圧力が減少することも予想されます。これは特に、2025年中盤以降の需要拡大と重なった場合、価格の長期上昇トレンドをさらに強固なものにする要因になるでしょう。

さらに、こうした動きが米国大統領選後に加速しているという点も見逃せません。現在の政権下での仮想通貨への寛容姿勢が、企業にとっての安心材料となり、財務戦略にビットコインを組み込む決断を後押ししている可能性があります。

総じて、今回の報告はビットコイン市場における「金融制度としての成熟」の一端を示すものであり、今後の市場動向を読み解くうえで非常に重要なデータであると見ています。今後、取引所残高の推移と企業の取得動向を注視しながら、中長期でのポジショニングを検討すべき段階に入っていると考えます。

※当サイトの情報は投資判断の参考となる一般的な情報提供を目的としており、特定の暗号資産(仮想通貨)への投資を勧誘するものではありません。当サイトの情報に基づいて生じた損害やトラブルについて、当編集部は一切の責任を負いかねます。ユーザーご自身の判断と責任において情報をご利用ください。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

  • URLをコピーしました!
目次