ビットコインよりカルダノ？ADAが月間資金流入トップ

2025年3月、暗号資産市場における資金フローに大きな変化が見られた。カルダノ（ADA）がビットコイン、イーサリアム、ソラナといった主要銘柄を抑え、機関投資家からの資金流入でトップに立ったと、暗号資産分析企業CoinSharesが報告した。

報告によると、3月29日時点でカルダノは月間6,330万ドルの純流入を記録し、機関投資家にとって最もパフォーマンスの高い暗号資産となった。これは、市場全体が22億ドルの流出超過となっていた中での快挙であり、注目に値する動きである。

機関投資家のADAへの関心が急増、市場センチメントにも変化

カルダノの週次流入額は、3月下旬に10万ドルから60万ドルへと500％増加。これに対し、ビットコインは週次で1億9,500万ドルの流入があったものの、月間では8億2,600万ドルの大規模な流出に転じていた。イーサリアムも3億7,000万ドルの月間流出を記録しており、カルダノの一強状態が際立っている。

ソラナも2,690万ドルの月間流入を見せたが、カルダノには及ばなかった。なお、その他のアルトコイン全体では3,300万ドルの流入があり、4週間連続で続いていた資金流出に歯止めがかかった形である。

この機関投資家の動きについて市場アナリストは、トランプ大統領が3月2日に発表した「戦略的暗号資産準備金（Strategic Crypto Reserve）」にADAが含まれていたことが、注目を集める契機になったと指摘している。のちに準備金はビットコインとアルトコインに分割されたが、最初にADAが名指しされた影響は大きかったようである。

先物市場・価格動向でもADAは注目集める

ADAの先物市場における建玉（オープンインタレスト）も拡大傾向にあり、Coinglassのデータによると年初から10％増の7億200万ドルに達している。また、Grayscaleが発表した「トップ10暗号資産パフォーマンス」では、3月6日時点でカルダノが1週間で40.4％のリターンを記録し、すべての銘柄の中で最も好成績であった。

一方で、ADAの価格は依然としてボラティリティが高く、短期的な不安定さも残っている。4月時点では約0.58ドルで取引されており、直近24時間で7.21％上昇するなど、週末の急落から回復を見せている。取引量も同期間で55.25％増の18億3,000万ドルに達した。

テクニカル面では、0.55ドルが心理的なサポートラインとして機能しており、アナリストのMr. Brownstone氏は「短期的には0.83ドルのレジスタンス突破が重要」と述べている。

機関の資金流入が続く中、カルダノの中長期的価値が再評価か

現在、経済情勢が不透明な中で、機関投資家がポートフォリオのリバランスを進める動きが続いている。その中でも、カルダノに対する継続的な資金流入は、技術的な基盤と長期的な成長ポテンシャルに対する信頼感が高まっていることの証左であるといえる。

今後、ADAが市場の主要銘柄としてより確固たる地位を築くかどうかは、プロジェクトの開発動向、エコシステムの拡大、そしてマクロ経済の影響といった複数の要因に左右されるが、少なくとも現在はその可能性を十分に示している状況である。

その背景として特に注目すべきは、トランプ大統領による「戦略的暗号資産準備金」構想でADAが名指しされたことです。これは政治的にも技術的にもカルダノが「国家レベルで注目に値する暗号資産」として認識されたことを意味し、投資家にとっては安心材料となった可能性が高いです。

さらに、CoinSharesのレポートやGrayscaleのデータからは、カルダノが短期リターンや先物建玉の伸びといった複数の指標でも強さを見せており、資金流入が単なる投機的なものではなく、構造的な支持に基づいていることがうかがえます。

もちろん、価格のボラティリティは依然として高く、0.55〜0.83ドルのレンジ内でのテクニカルな動きが注視されていますが、それでもこのような機関の注目と資金が流入している状況は、ADAの中長期的な価値を再評価すべき時期に来ていることを意味します。

結論として、今回のカルダノの急浮上は、単に「価格が上がった」だけではなく、プロジェクトの技術力・持続性・規制環境への適合性など、総合的な信頼性が市場に認識され始めた結果だと評価しています。

今後、実際の開発進捗や政策動向と連動する形で、カルダノが本格的にビットコインやイーサリアムと並ぶ「機関投資対象銘柄」として定着するかどうかが、非常に重要な注目ポイントになると思われます。