
ソラナのRaydiumが新トークンローンチパッド「LaunchLab」を公開──Pump.funとの決別から独自路線へ

ソラナ(Solana)基盤の分散型取引所(DEX)であるRaydium(レイディウム)は、新たなトークンローンチパッド「LaunchLab」をリリースした。これは、シンプルさを売りに急成長したPump.funとの決別から約1か月後の動きであり、より高度なトークン発行・設計を可能にするプロ仕様のローンチパッドとして注目されている。
RaydiumとPump.funは長らく連携していたが、Pump.funが独自DEX「PumpSwap」を立ち上げたことにより関係を解消。以降、両者はソラナ上でトークン発行および流動性供給を巡るライバル関係となっている。
「LaunchLab」は何が違う?柔軟なトークン設計を実現
今回の「LaunchLab」は、従来のPump.funが提供していたトークン作成機能に比べて、はるかに柔軟で本格的なトークノミクスの設計が可能である。
具体的には以下のような機能を備える。
- トークン供給量の自由設定
- ボンディングカーブ(価格変動曲線)のカスタマイズ
- どれだけのSOLを調達したらRaydiumのAMMに流動性を移行するかの閾値設定
- トークンの権利確定期間(ベスティング)
- 移行時の手数料収益シェア設定
これに対し、Pump.funはトークン名やアイコンなどの見た目を簡単に変更できる一方で、経済設計の柔軟性には欠けるという特徴がある。この「お手軽さ」はPump.funの爆発的な成長を支えたが、より本格的なトークン設計を求めるユーザーにとっては物足りないものだった。
狙うは「CEX不要の資産発行」──LaunchLabの次なる展望
Raydiumの匿名チームリーダー「Tom」氏は、「LaunchLabは壊れたトークンモデルを修正するためのものだ」と述べ、中央集権取引所(CEX)やマーケットメイカーに依存しない、新たな資産発行インフラを構築する意志を明らかにしている。
同氏はまた、今後LaunchLabを「プロダクトスイート(製品群)」として拡張していく構想も明かしており、現在10以上の外部プロジェクトがLaunchLabのインフラを活用して独自のアプリケーションを開発中だという。
さらに注目すべきは、第三者開発者が独自のボンディングカーブや配布モデルを設計できるようにインフラを公開している点である。これは、より分散的でパーミッションレスなトークン発行環境を整えるものとして、今後のDeFiエコシステムに大きな影響を与える可能性がある。
Raydium vs Pump.fun、ソラナで“トークン発行戦争”が本格化
今回の「LaunchLab」ローンチにより、RaydiumとPump.funはローンチパッドとDEXという2つの領域で正面からぶつかる構図となった。Pump.funはシンプルなUXで広くユーザーを取り込んできた一方で、Raydiumはプロトレーダーやプロジェクト向けの高機能インフラ提供で差別化を図る戦略に出た。
実際に、Raydiumのネイティブトークン「RAY」は発表直後に約9%上昇し、時価総額は6億6,100万ドル超まで回復。2月にPump.funとの関係解消の噂が出た際には42%下落していたが、今回の自立的な展開によって市場の信頼をある程度取り戻した形だ。
今後、ソラナ上での新規トークン発行やミームコインブーム第2波が訪れる中で、どちらのローンチパッドが主流を握るかが注目される。Raydiumの「LaunchLab」は、DeFiの成熟に向けた“設計力のあるプロジェクト”を育てるインフラとしての役割を担い始めていると言えるだろう。
GENAIの見解

このニュースは、ソラナ上のトークンローンチインフラが「量から質」への転換期に差し掛かっていることを示す非常に象徴的な出来事であると考えます。
Raydiumがリリースした「LaunchLab」は、これまでPump.funが担ってきた“誰でも簡単にミームコインを作れる文化”から一歩進んで、よりプロフェッショナルかつ持続可能なトークン設計を可能にする仕組みとなっており、今後のソラナエコシステム全体に与える影響は非常に大きいと見ています。
特に注目すべきは、ボンディングカーブの設計や、ベスティング(権利確定期間)設定、流動性移行条件など、トークノミクスの本質部分に手が届くようになった点です。これは、ただのミームコインではなく、実用性や持続性を意識したプロジェクトの立ち上げを後押しするものです。
また、Raydiumが第三者にもLaunchLabインフラを開放している点は、非常に戦略的です。今後、DeFiプロジェクトやWeb3アプリが独自トークンを設計・展開する際に、LaunchLabを利用するケースが増えると考えられます。これは、Raydiumが単なるDEXから、「分散型資産発行インフラプロバイダー」へと進化しつつある証拠です。
一方で、Pump.funのような“誰でも・すぐに・面白く”というカルチャーも、暗号資産市場を盛り上げてきた事実は無視できません。RaydiumとPump.funがそれぞれ異なる層をターゲットにしながら並立し、健全な競争を通じてエコシステム全体を押し上げることが理想的な形だと思います。
結論として、LaunchLabの登場は、ソラナチェーンがトークン発行の「成熟期」に突入しつつある明確なサインです。今後、このような設計可能性の高いツールがどのような新しいプロジェクトを生み出すのか、非常に楽しみにしています。特に、実需を伴うユーティリティトークンや、DAOガバナンストークンの展開において、このインフラが鍵を握る可能性が高いでしょう。