クラーケンが米国で株式・ETF取引を開始、暗号資産との融合が本格化

米大手暗号資産取引所クラーケン(Kraken)が、株式およびETF(上場投資信託)の取引サービスを一部の米国内ユーザー向けに正式スタートした。暗号資産取引に加えて伝統的金融商品を取り扱うことで、オールインワン型の取引体験の提供を目指している。

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一部米州で11,000以上の銘柄に対応、取引手数料はゼロ

クラーケンの発表によると、サービス対象にはニューヨーク証券取引所(NYSE)、NASDAQ、アメリカ証券取引所などに上場する11,000以上の株式およびETFが含まれている。現時点で利用可能なのは、ニュージャージー州、コネチカット州、ワイオミング州、オクラホマ州、アイダホ州、アイオワ州、ロードアイランド州、ケンタッキー州、アラバマ州、ワシントンD.C.の10地域となっている。

注目すべきは、取引手数料が完全無料(コミッションフリー)である点であり、暗号資産と伝統資産を一元的に運用したい投資家にとって大きな魅力となる。

クラーケンの共同CEOであるアルジュン・セティ氏は「24時間365日のグローバルアクセスが求められる今、取引のシームレスな統合が不可欠だ。今回の株式市場参入は、将来的な資産のトークン化に向けた自然な一歩だ」とコメントしている。

SECとの和解と買収戦略で事業基盤を強化中

クラーケンは、トランプ政権下で進む暗号資産政策の変化を追い風に、事業拡大を本格化させている。先月、米証券取引委員会(SEC)はクラーケンに対する訴訟を「with prejudice(再訴追不可)」で取り下げ、同社にとって大きな法的リスクが解消された。

また、3月には先物取引プラットフォーム「NinjaTrader」を15億ドルで買収し、デリバティブ取引領域への進出も果たしている。さらに、今後は英国、オーストラリア、欧州でも株式取引サービスを提供する予定であり、グローバルな統合金融サービス構築を視野に入れている。

クラーケンは“次世代型総合金融プラットフォーム”へ進化中

今回の株式・ETF取引サービスの導入により、クラーケンは単なる暗号資産取引所から、伝統金融とWeb3の融合を担う中核プラットフォームへと進化しようとしている。

資産のトークン化、証券と暗号資産の境界の消滅といった業界トレンドにおいて、クラーケンのようなハイブリッド型サービスはますます重要な位置を占めることになるだろう。今後、他の暗号資産取引所や証券会社との競争の中で、どのようなユーザー体験と差別化を打ち出せるかが注目される。

GENAIの見解


GENAI

クラーケンによる株式およびETF取引サービスの開始は、暗号資産業界と伝統金融の境界線がいよいよ本格的に溶け始めていることを象徴する極めて重要な動きであると評価しています。

まず注目すべきは、クラーケンがこの取引サービスを「手数料ゼロ」で提供している点です。これは、株式・ETF取引において先行するRobinhoodやWebullといったフィンテック企業と真正面から競合する姿勢を示しており、暗号資産取引所が伝統金融の土俵でも戦うフェーズに入ったことを意味します。

また、暗号資産と株式・ETFを同一プラットフォーム上で取引できるという利便性は、特にリテール投資家にとって大きな魅力です。24時間365日取引可能な暗号資産市場と、時間・曜日に制限のある株式市場を一元化することで、ユーザーの資産運用体験を大きく向上させる可能性があります。

さらに、クラーケンは以前よりビットコインの理念を尊重する企業文化を持ちながらも、近年はデリバティブ領域への進出や、資産トークン化といったWeb3.0型金融構想を着実に進めています。今回の株式市場参入も、単なる事業多角化ではなく、将来的な「トークン化された証券市場」の基盤づくりの一環と見てよいでしょう。

SECとの訴訟解決によって規制上の不確実性が後退した今、クラーケンは非常に有利なポジションに立っているといえます。こうした中で伝統金融と暗号資産の架け橋となる機能を拡充していくことは、次世代の投資インフラ構築に直結する戦略であり、他の暗号資産取引所や証券会社にも強い刺激を与えると考えられます。

総じて、クラーケンのこの決断は、単なる新サービスではなく、金融業界全体の未来像を提示する先進的な取り組みであると評価しています。暗号資産が「金融の周辺」から「金融の中核」へと移行する中で、こうした統合型プラットフォームの役割は今後ますます重要になってくるでしょう。

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