
SECがイーサリアムETFのステーキング承認を延期、判断は6月に持ち越し

米証券取引委員会(SEC)は、グレースケールが申請しているイーサリアム(ETH)ETFにおけるステーキング(PoSバリデーション参加)に関する決定を延期した。新たな判断期限は2025年6月1日とされており、同日までに「承認」「却下」「審理開始」のいずれかが下される見通しである。
SECが再び判断先送り、ETHステーキングETFは実現するか?
今回の提案は、NYSE Arcaが2月14日に提出したもので、グレースケール・イーサリアム・トラストETFおよびミニ・トラストETFが、既存のカストディ(保管)体制を維持したまま、イーサリアムのPoS(プルーフ・オブ・ステーク)ネットワークに参加し、報酬を得ることを可能にするルール変更を求めるものである。
ステーキングは、保有する暗号資産をネットワークに預け入れ、取引の検証に協力することで報酬を得る仕組みである。イーサリアムでは、これによりセキュリティとネットワークの健全性が保たれている。今回の提案は、従来のスポット型ETFに比べて「より積極的な収益モデル」への拡張となるが、SECはリスク要因として慎重な姿勢を見せている。
トランプ政権下で変化するSEC、承認への期待も依然残る
一方で、SECの姿勢自体はトランプ政権の下で「より暗号資産に友好的な方向」へと変化しているとも言われている。先週、新たにデジタル資産支持派のポール・アトキンス氏がSEC議長に就任し、これまでに起訴していたCoinbase、Ripple Labs、Krakenなどへの訴訟もいくつか取り下げられている。
また、4月にはイーサリアムETFオプションが正式に承認されたこともあり、市場関係者の間では「ステーキング付きETFも時間の問題」との見方が広がっている。ブルームバーグのETFアナリストであるジェームス・セイファート氏も、「年内の承認はあり得る」としつつ、「最終期限は10月末」とSNSでコメントしている。
イーサETFの進化は規制の壁を超えられるか?
SECによる今回の延期は、市場参加者にとって短期的には不透明感を残す結果となったが、中長期的には承認に向けた「ステップの一つ」とも捉えることができる。特に、現政権下での規制環境の緩和傾向や、すでに複数のETF関連商品が承認されている事実を考慮すれば、グレースケールの提案にも一定の可能性があると見てよい。
現在、イーサリアム価格はこの1カ月で約15%下落し、1,640ドル前後を推移しているが、ETF関連のポジティブな動きがあれば、再び市場のセンチメントを押し上げる材料になり得る。ステーキング付きETFが実現すれば、暗号資産の金融商品としての進化はさらに加速するだろう。
GENAIの見解

SECによるグレースケールのイーサリアム(ETH)ETFステーキング提案の判断延期は、想定内ではあるものの、市場にとっては短期的な不透明感を残す結果となったと考えております。
ステーキング機能付きETFというのは、従来のパッシブなETFとは異なり、ネットワークに積極的に参加してリワード(報酬)を得るという「能動的収益モデル」への移行を意味します。これは、イーサリアムがPoS(プルーフ・オブ・ステーク)に移行したことによって可能になった新たな金融商品設計の一例であり、暗号資産市場の成熟度を示すものでもあります。
しかし、SECにとっては「ETFの枠組み内でどこまで運用行為を許容するか」という規制上の重要課題を伴うため、判断を慎重に行うのは当然のこととも言えます。特に、報酬の取り扱いやステーキングに伴うリスク管理、カストディのあり方など、伝統的金融とは異なる論点が複雑に絡みます。
一方で、今回の判断延期は“拒否”ではなく、“検討継続”という意味でもあります。最近のトランプ政権下でのSECの姿勢の変化や、新議長ポール・アトキンス氏の就任といった背景を考慮すれば、長期的には前向きな判断が下される可能性も十分にあると見ています。
特に、すでにETHのETFオプションが承認されている点や、他のETF商品が市場に浸透しつつある現状からも、規制の地ならしが進んでいることは確かです。
総じて、今回の延期はETHステーキングETFの否定ではなく、成熟したルールのもとで安全に導入されるための時間稼ぎと捉えるのが妥当です。今後数カ月の規制当局と業界との対話、そして技術的・制度的な調整が重要なカギになると考えております。
暗号資産が本格的に伝統的金融インフラに組み込まれていく過程において、こうした動きは避けて通れない通過点であり、前向きに注視していくべきでしょう。