ビットコインで保険金を支払うスタートアップ、評価額1億9000万ドルに急成長

ビットコイン（BTC）で保険金を支払う革新的な保険スタートアップ「Meanwhile（ミーンワイル）」が、シリーズAの資金調達で4,000万ドルを獲得し、企業評価額は1億9,000万ドルに達した。ビットコインを基軸とする同社のモデルが、インフレへの備えとして注目を集めている。

保険料も保険金もビットコインで完結

Fortune誌の報道によれば、Meanwhileはビットコインで保険料を受け取り、死亡保険金もBTCで支払う「ビットコイン・ネイティブ」な生命保険会社である。資金調達ラウンドには、ビットコイン銀行Xapoや、暗号資産業界の重鎮ウェンセス・カサレス氏らが参加した。

同社の共同創業者兼CEOであるザック・タウンゼント氏は、「前回の調達（2022年）から評価額を2倍に伸ばした」と語っており、ビットコインを活用した保険モデルへの関心の高まりを裏付けている。

「今やドルが過去ほど価値の保存手段として信頼されていないと感じる人もいる。検閲耐性があり、グローバルかつ分散型のビットコインで将来の価値を残すという考え方は、非常に魅力的だ」とタウンゼント氏は述べている。

預かったBTCを運用、保険の仕組みを再構築

Meanwhileは、契約者から受け取ったビットコインを運用することで、保険金支払いの原資を確保する。法定通貨を一切介さず、すべてビットコインで完結する仕組みは、インフレや通貨下落リスクを避けたい層にとって、代替的な資産保全手段として注目されている。

このモデルは、伝統的な保険業界の常識を打ち破る新たなアプローチであり、長期的な価値の保存という観点からビットコインの実用性を再評価する動きにもつながっている。

特に注目すべきは、同社がドルや法定通貨を一切介さず、保険料の支払いも保険金の受け取りもすべてビットコインで行うという完全な暗号資産モデルを採用している点です。これは、既存の保険会社が提供する「一部ビットコインに対応した商品」とは一線を画しており、まさに新しい金融インフラの構築に挑戦していると言えるでしょう。

また、ビットコインを用いることで長期的なインフレリスクを回避できるという視点も非常に合理的です。法定通貨の価値が時間とともに目減りする中で、ビットコインのように供給上限が明確な資産で将来の価値を担保しようとする考え方は、特に若い世代の間で支持を集める可能性があります。

ただし、保険という分野においては、安定性や法的な整備、信託性が重要視されるため、今後の規制環境やリスク管理体制の構築が重要なカギを握るとも言えます。BTC価格のボラティリティや、運用ミスによる資産毀損などの課題に対して、どれだけ堅牢な仕組みを持っているかが問われるでしょう。

総じて、Meanwhileの成功は単なる一企業の成果ではなく、暗号資産の「実用化」と「制度内組み込み」を進めるうえで非常に前向きな事例であり、今後このようなモデルが他の保険・年金・資産運用分野にも広がっていく可能性があると考えております。