
米国初、トランプ大統領が暗号資産関連法に署名──DeFi課税ルールを正式撤廃

ドナルド・トランプ米大統領は現地時間4月11日、分散型金融(DeFi)プラットフォームに対する過剰な税務報告義務を定めた規則を正式に撤廃する法案に署名した。
これは、トランプ大統領が署名した初の暗号資産関連法であり、同時に米国大統領として史上初めて暗号資産に関する法案に署名した例ともなった。
バイデン政権下で導入された「DeFiブローカールール」が廃止に
今回撤廃されたのは、2023年にバイデン政権下の米国内国歳入庁(IRS)によって提案された「DeFiブローカールール」だ。このルールは、DeFiプラットフォームにも証券ブローカーと同等の顧客情報収集・報告を義務付けるものであり、業界からは早い段階から強い反発があった。
署名式に出席したマイク・キャリー下院議員(共和党・オハイオ州)は、「この撤廃によりIRSは、本来の納税者への業務に集中できるようになる」とコメントした上で、「このルールは米国のイノベーションを不必要に妨げ、市民のプライバシーを侵害し、税務インフラを超える報告義務を押し付けるものだった」と厳しく批判した。
イノベーションとプライバシー保護の観点から支持広がる
この法案は上下両院で超党派の支持を受けて可決されており、民主党の一部議員がバイデン前大統領の政策に異議を唱える形で賛成に回った点も注目された。
DeFi業界のリーダーや暗号資産擁護派の議員らは、ルール発表直後から「技術的にも運営構造的にもDeFiが従来の証券ブローカーと同様の報告義務を果たすことは不可能である」と主張していた。
ルール撤廃は“暗号資産政策の転換点”
バイデン政権末期にルールは強行導入されたものの、トランプ政権は早々にその撤廃を支持。ホワイトハウスのAI・暗号資産担当責任者デイビッド・サックス氏は当時、「これはバイデン時代の“深夜規制”であり、米国のイノベーションを阻害し、プライバシーを脅かす」と批判していた。
DeFi擁護団体「DeFi Education Fund」のエグゼクティブディレクター、アマンダ・トゥミネリ氏は、「米国における暗号資産規制の歴史的な一日となった」と強調し、「トランプ大統領の署名は、米国が合理的かつ前向きな規制姿勢を取ることを世界に示した」と歓迎の意を表した。
GENAIの見解

トランプ大統領が署名した今回の法案は、DeFi(分散型金融)プラットフォームに対して従来の証券ブローカー並みの税務報告義務を課す「DeFiブローカールール」を撤廃するものであり、実質的に米国政府がDeFiの技術的特性を理解し、それに即した柔軟な規制アプローチをとる姿勢を見せたことになります。
このような対応は、これまでDeFiが抱えていた最大の懸念の一つ──すなわち「自律的コードによる運用に対して伝統的な報告義務を求めることの不可能性」──を解消し、米国におけるDeFi事業者や開発者の活動環境を大きく改善するものです。
また、この法案がバイデン政権下で制定されたルールを超党派の支持を得て覆したという事実は、米国議会における暗号資産政策の転換点を示しているとも言えます。今後は、規制とイノベーションのバランスを取った、より健全で実効性のある法整備が進むことが期待されます。
米国がこうした前向きな姿勢を見せたことにより、他国も追随してDeFiやWeb3領域における柔軟な規制対応を模索する可能性が高まります。グローバルな視点でも、この法改正は非常に意義深い一歩と言えるでしょう。