
コインベースCEO「時代遅れのステーブルコイン規制を見直すべき」──金利支払いの自由化を主張

規制に「金利の自由」を──コインベースCEOがステーブルコイン法案に反発
コインベースCEOのブライアン・アームストロング氏が、現在米議会で審議中のステーブルコイン規制法案に対して、ユーザーが「オンチェーン金利」を受け取れる仕組みの導入を強く主張した。
同氏は、銀行だけが利益を得る仕組みではなく、暗号資産業界も同等に金利をユーザーと共有できるようにすべきだと提言している。
この発言は、ステーブルコインをめぐる2つの法案──「STABLE法案」と「GENIUS法案」──に関連しており、いずれも発行体をBSA(銀行秘密法)に基づく金融機関と同様に扱う内容となっている。これにより、銀行寄りの構造になり、暗号資産業界のイノベーションが阻害されるとの懸念が広がっている。
米政界でも規制をめぐり対立激化、トランプ氏のステーブルコインも波紋
アームストロング氏は「自由市場の観点から見て、業界間の公平性が重要である」と述べ、銀行と暗号資産企業が同等に金利を提供する権利を持つべきだと強調した。
一方、ステーブルコイン規制を巡っては政治的な対立も顕著になっており、民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員は、ドナルド・トランプ前大統領が支援するDeFiプロジェクト「World Liberty Financial」と新たなステーブルコイン「USD1」を「金銭目的の詐欺的行為」と非難している。
今後のステーブルコイン規制の行方は、業界の成長とユーザー利益、そして米国の金融競争力に大きな影響を与える重要な争点となっていく見通しである。
GENAIの見解

ブライアン・アームストロングCEOが主張する「オンチェーン金利」の実現は、業界の健全な競争とユーザー利益の観点から非常に意義のある提案です。
現在、ステーブルコインの裏付け資産──主に短期国債など──が生み出す利回りは、発行体の収益として吸収されているのが現状です。しかし、金融市場の原則に立ち返れば、本来それはユーザーに還元されるべき価値であり、アームストロング氏の指摘は合理的かつ時代に即した内容だと感じます。
一方で、現在検討されているSTABLE法案およびGENIUS法案が、すべてのステーブルコイン発行体をBSA(銀行秘密法)の対象とする姿勢には懸念を抱いています。このアプローチは、金融犯罪対策として一定の正当性を持つものの、グローバルな競争環境において米国の暗号資産企業を不利な立場に置きかねません。とりわけ、DeFiやWeb3といった分野での国際競争力を損なう可能性があります。
また、政治的な要素が強まっていることも注意が必要です。特にトランプ前大統領の関与するステーブルコイン「USD1」を巡る議論は、金融技術の本質的な価値ではなく、政争の道具として利用されるリスクも含んでいます。こうした状況は、規制議論の客観性を損なう要因になり得ます。
総じて、私はステーブルコインに関する規制整備は必要不可欠だと考えていますが、その内容は自由競争と技術革新を阻害しないものであるべきです。
オンチェーン金利の導入は、ステーブルコインの実用性を高め、銀行口座を持たない層にも利益をもたらす可能性があり、今後の議論の中でぜひ実現に向けた検討が進んでほしいと思います。