マイケル・セイラー氏、ビットコイン時価総額500兆ドルを予測　ゴールド・不動産を「デジタル資産」が吸収

セイラー氏、ビットコインの「デジタル時代の資産」への移行を確信

マイクロストラテジー（Strategy）の創業者であり、熱心なビットコイン支持者として知られるマイケル・セイラー氏は、ビットコイン（BTC）が世界中の資産から最大500兆ドルの資本を吸収するとの大胆な予測を示した。

セイラー氏は、ゴールド、不動産、その他の伝統的な価値保存資産（SoV）がビットコインに置き換えられることで、デジタル時代の富の大転換が起きると主張している。

セイラー氏は最近のパネルディスカッションで、ビットコインの時価総額は現在の約2兆ドルから「20世紀の資産」からの資本移動により、最終的に500兆ドルに膨れ上がるとの見解を示した。

ビットコインはゴールド、そして不動産を超える

セイラー氏は、この資本の移行はすでに「止められない」と強調している。彼のシナリオでは、ビットコインはまずゴールドの時価総額12兆ドルを超え、その後不動産市場の推定300兆ドルをも凌駕し、**あらゆる長期的な価値保存手段（SoV）**の役割を担うようになるという。

セイラー氏によれば、ロシアの不動産、中国のプライベート・エクイティ、アフリカや南米の資産など、世界中の物理資産からの資本が、デジタルの希少性を持つビットコインへと流れ込むという。

この動きは、かつてヨーロッパの植民地開拓者が、貝殻やビーズを使っていた社会にオランダ・ギルダー（貨幣）を導入した歴史的転換と類似しているとセイラー氏は述べている。

ビットコインは「21世紀の資産」に

セイラー氏はビットコインを「デジタル・コモディティ」の派生資産と位置付けており、通貨ベースの金融商品よりも優位性があると主張している。

「資本は20世紀から21世紀に移行する」と語るセイラー氏は、ビットコインの分散化されたインフレ耐性フレームワークこそが、従来の資産クラスを凌駕する理由だと説明している。

この資本の移行は、機関投資家による採用の拡大によってさらに加速すると見られている。

米国がビットコイン資産の25〜30%を保有へ

セイラー氏は、ビットコインのボラティリティや価値保存資産（SoV）としての適性を疑問視する批判にも一蹴しており、「資本移行はすでに進行中だ」と断言している。彼の予測によれば、米国が最終的にビットコイン資産の25〜30%を保有するようになり、世界の資本はビットコインを中心に再編成されることになるという。

セイラー氏のこの大胆な予測は、同氏が長年にわたりビットコインに強気な立場を維持していることの延長線上にある。マイクロストラテジーは現在、506,137BTCを保有しており、同社の財務戦略はビットコインへの長期的な投資に大きく依存している。

ビットコイン500兆ドル予測への賛否

セイラー氏の楽観的な見通しは、デジタル資産と物理資産の未来を巡る議論をさらに活性化させている。

一方で、主流の経済学者や懐疑的な投資家の間では、ビットコインが不動産やゴールドのような安定した価値保存手段となり得るかどうかについて意見が分かれている。

それでも、ビットコインが「21世紀の資産」としての地位を確立し、長期的な富の保存手段として台頭するというセイラー氏のビジョンは、仮想通貨市場における未来の可能性を示唆する重要な議論を呼び起こしている。

セイラー氏が主張する資本の流れは、歴史的な資産シフトの延長線上にあると見ることができます。かつて、ヨーロッパの植民地開拓者が貝殻やビーズの経済を貨幣制度に置き換えたように、物理的資産（不動産やゴールド）からデジタル資産（ビットコイン）への移行は、技術革新によって引き起こされる「21世紀の資産革命」と位置付けられます。

セイラー氏のシナリオでは、ビットコインはまずゴールドの時価総額12兆ドルを超え、その後、不動産市場の推定300兆ドルをも吸収することで、最終的には500兆ドル規模に達するとされています。

この見通しは、ビットコインのデジタル希少性、分散化、インフレ耐性という特性が、投資家にとって物理資産よりも魅力的な価値保存手段になることを前提としています。特に、中国、ロシア、アフリカ、南米の物理資産からの資本移転が進むことで、世界規模でのデジタル資産へのシフトが加速するという見方は、機関投資家の採用が拡大している現状とも一致しています。

セイラー氏は、最終的に米国がビットコインの時価総額の25〜30%を保有するとも予測しています。これは、米国が機関投資家や企業のビットコイン採用を促進する政策を継続することで、デジタル資産のハブとしての地位を確立する可能性があることを示唆しています。

実際、ブラックロック、フィデリティ、グレースケールなどの大手金融機関はすでにビットコインETFを通じて多くの資本を流入させており、今後の規制緩和と機関投資家のさらなる参入が進めば、セイラー氏の予測に近づくシナリオも十分に考えられます。

ただし、セイラー氏の500兆ドルという予測は非常に強気であり、現実的にはいくつかの課題が残っています。

1. ビットコインのボラティリティ
   ビットコインは依然として価格変動が激しく、伝統的な価値保存資産（SoV）と比べて安定性に欠ける点が課題です。
2. 規制リスク
   各国の規制動向によっては、ビットコインの普及速度が遅れる可能性があります。特に、厳格なAML（マネーロンダリング防止）規制やKYC（顧客確認）要件の強化は、グローバルな資本流入に影響を与えるでしょう。
3. 技術的課題とスケーラビリティ
   ビットコインがグローバルな決済手段や資産の保管手段として機能するには、スケーラビリティの向上や取引コストの削減が必要です。

セイラー氏の「500兆ドルの時価総額」という強気な予測は、ビットコインの未来への大きな可能性を示唆していますが、現実的には規制環境、技術課題、市場の成熟度など、克服すべき課題も多く残っています。

それでも、ビットコインが「21世紀の資産」として世界的に認知され、長期的な価値保存手段としての役割を果たす可能性は非常に高いと考えています。

今後、機関投資家の採用拡大、規制の明確化、技術革新が進むことで、ビットコイン市場が新たな段階へと成長することを期待しています。