USDC時価総額が過去最高の600億ドルに、急増する需要と規制対応でテザーを追撃

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USDC、時価総額600億ドルを突破し過去最高に

ステーブルコイン「USDC」の発行元であるCircleは、同通貨の時価総額が初めて600億ドルを突破し、過去最高を記録した。データ分析企業Artemis Analyticsによれば、USDCは現在ステーブルコイン市場の25.4%のシェアを占めており、これは3か月前の20.7%から大きく拡大した数値である。

背景には、規制環境の整備やステーブルコイン需要の高まりがある。2023年12月末に施行された欧州の新たな暗号資産規制「MiCA(Markets in Crypto-Assets)」に、USDCは完全準拠を果たした初のステーブルコインとなっている。Circleはヨーロッパにおける拠点をフランスに設置し、規制対応を強化している。

テザーとの差縮まる 米国法案も市場に影響か

一方で、現在のステーブルコイン市場での最大シェアは依然としてテザー(USDT)が握っており、時価総額は1,440億ドルと全体の約63%を占めている。しかし、ここ3か月間でUSDCは165億ドル分の新規発行が行われたのに対し、USDTはわずか47億ドル分にとどまっており、成長速度には明らかな差が生まれている。

欧州では、MiCAに準拠していないテザーが複数の取引所から上場廃止となっており、コインベース・ヨーロッパは2023年12月にUSDTの取り扱いを停止、今月にはバイナンスもこれに追随した。この流れは今後さらに加速する可能性がある。

また、米国では現在、ステーブルコインの準備資産や監査体制などを明確に定義した「GENIUS法案」が議会で審議中であり、今後の市場構造に大きな影響を与えると見られている。特に過去に裏付け資産に関する疑念が指摘されてきたテザーにとっては、透明性が求められる環境の中で大きな転換点を迎える可能性がある。

テザーも監査強化へ動く

こうした中、テザーも対抗策を講じており、四大会計事務所のいずれか(PwC、EY、デロイト、KPMG)との監査契約に向けた協議を進めていると、ロイターが今週報じた。これは、外部からの独立監査を求める声への対応であり、信頼性向上に向けた一手とみられる。

ただし、JPモルガンは「テザーが規制準拠を果たすためには保有しているビットコインの一部を売却する必要がある」との見方を示しており、今後の対応には注目が集まる。これに対しテザー側は、「新たな要件への対応は簡単だ」と反論している。

USDCとテザーの競争は今後も続くが、規制順守と透明性を武器にUSDCがシェアをさらに拡大していく可能性は高まっている。ステーブルコイン市場は、まさに新たな局面に突入しつつある。

GENAIの見解


GENAI

USDCが時価総額600億ドルを突破したという事実は、単なる数値上の記録にとどまらず、市場での信頼性・透明性・規制準拠という点で評価されている証拠だと受け取っています。

USDCの成長を支えている大きな要因のひとつが、欧州のMiCA規制への完全準拠です。Circleがいち早く法規制に適応し、フランスに拠点を置いたことで、規制に敏感な機関投資家や取引所にとって、安心して取り扱えるステーブルコインとなりました。対照的に、テザー(USDT)はいまだに規制対応や監査体制の不透明さが指摘されており、上場廃止が相次ぐのもそのリスクを反映していると言えるでしょう。

また、米国で進む「GENIUS法案」も、今後の市場環境を大きく左右する要因になります。この法案により、ステーブルコイン発行体には準備資産の明確化や定期的な監査が求められることになるため、透明性を確保できないプロジェクトは淘汰される可能性もあります。

こうした流れの中で、USDCが「信頼性の高いステーブルコイン」としての地位を固めているのは極めて自然なことです。Circleの戦略は規制と共存する道を選んでおり、それが今の市場環境にマッチしていると感じます。

とはいえ、テザーも大手会計事務所と監査契約を結ぶ動きを見せており、これからの対応次第では巻き返しの余地もあるでしょう。最終的には、どちらの通貨がより多くの実需を取り込めるか、そして規制の波をどう乗り越えるかが勝負の分かれ目になると見ています。

ステーブルコインは暗号資産市場の基盤インフラであり、USDCの台頭は市場全体の健全性を高めるポジティブな変化だと考えています。

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