バイナンスCEO「暗号資産普及のカギは規制の明確化と機関投資家の参入」

バイナンスのCEOであるリチャード・テン氏が、暗号資産が大衆に広く普及するためには「規制の明確化」と「機関投資家の関与」という2つの要素が不可欠だと語った。YouTube番組『The Wolf of All Streets』のインタビューで、テン氏はクリプトが金融サービスの未来を担うと明言した。

規制が整えば、個人投資家も安心して参加可能に

テン氏はまず、規制が不透明なままでは一般層の参入が難しいと指摘。「初期ユーザーはルールが曖昧な中でも利用してきましたが、大衆が安心して参加するには、規制当局が監視しているという安心感が必要です」と述べた。

これは、法的な保護がクリプト普及の前提条件になることを意味している。

長期投資を行う機関の存在が市場の安定と成長を導く

次にテン氏は、ボラティリティの抑制には機関投資家の参入が重要だと指摘。個人投資家中心では価格が乱高下しやすいが、長期的視点を持つ機関の参加により、安定性と時価総額の成長が期待できるという。

「買って保有するユーザーが増えることで、市場は成熟し、より多くの用途に対応できるようになる」と語った。

ステーブルコインの採用が普及を後押し

テン氏は実例として、スタンダードチャータード銀行が香港ドルに連動するステーブルコイン発行に乗り出したことを紹介。クリプトによる即時決済の効率性と低コスト性は、従来の金融インフラでは実現が難しいものであり、今後さらに多くの金融機関がこの技術を取り入れると予測している。

まず、規制の明確化については、多くの一般ユーザーや保守的な投資家が暗号資産への参加をためらう大きな要因となっています。規制が整備されれば、投資家保護が保証されるだけでなく、詐欺的プロジェクトの排除や市場の健全化にもつながります。これは、長期的には信頼のあるマーケット構築に直結し、より幅広い層の参入を促進することになります。

次に、機関投資家の参入については、暗号資産市場の「構造的な安定性」と「成長の持続性」に直結する要素です。リテール投資家主体の市場では、ニュースや感情に左右された短期的な価格変動が起こりやすいですが、機関投資家は中長期の視点で資金を投入するため、ボラティリティの抑制に貢献します。また、資金量の規模が大きいため、市場全体の流動性や時価総額の拡大にもつながります。

テン氏が例に挙げたスタンダードチャータードによるステーブルコイン発行の動きも非常に示唆的です。これは従来型の金融機関が、暗号資産の技術的優位性――とくに送金速度やコスト効率――を認識し始めたことを示しており、今後の銀行や決済ネットワークとの統合に向けた第一歩と見てよいでしょう。

総合的に見て、テン氏の発言は非常に的を射ており、今後のクリプト業界が“ニッチ市場”から“インフラレベル”へ進化していく上でのロードマップとして機能するものだと思います。規制の整備と機関マネーの本格的な流入が重なるタイミングこそ、クリプトにとって真のマスアダプションが始まる瞬間になると予測しています。