
ETH/BTCが5年ぶりの安値、トレーダーは強いアルトコインへの移行を示唆

イーサリアム(ETH)のビットコイン(BTC)に対する価値が2020年半ば以来の最低水準に達した。これを受け、一部の仮想通貨トレーダーは、より高パフォーマンスのアルトコインへ移行する好機であると指摘している。
仮想通貨トレーダーでエコノミストのアレックス・クルーガー氏は3月12日のX(旧Twitter)投稿で、「ETHをまだ持っているなら、今がより高ベータのアルトコインに乗り換える絶好のタイミングだ」と述べた。
ETH/BTC比率は、アルトコインシーズンの指標とされている。クルーガー氏は「市場が下落すれば、どちらを持っていても損失は同じだが、市場が上昇すればアルトコインの方が大きくアウトパフォームする可能性が高い」と分析している。
現在、ETH/BTC比率は0.02281と、約5年ぶりの低水準にある。ビットコインは8万3667ドルで取引されており、2月5日以降10万ドルの大台を突破できていない。一方、イーサリアムは1907ドルと、3月10日以来2000ドルを下回る水準で推移している。また、Crypto Fear & Greed Index(恐怖と貪欲指数)は「45(Fear)」と、市場の慎重な姿勢を示している。
一部の仮想通貨アナリストは、ETH/BTCの底打ちがアルトコインシーズンの到来を示唆すると見ている。Into The Cryptoverseの創設者であるベンジャミン・カウエン氏は、2月14日のX投稿で「アルトコインシーズンが始まるには、ETH/BTCが底を打ち、上昇トレンドに転じる必要がある」と述べた。
しかし、他の指標はアルトコインシーズンがまだ到来しない可能性を示している。CoinMarketCapのアルトコインシーズン指数によると、過去90日間における上位100のアルトコインのパフォーマンスを基にしたスコアは100点中13点であり、依然としてビットコイン優勢の市場とされる。
仮想通貨トレーダーでPear ProtocolのアドバイザーであるHansolar氏は3月13日のX投稿で、「今年は終始ビットコインシーズンになる」と予測した。昨年のアルトコインシーズンはわずか16日間であり、ビットコインのドミナンス(市場占有率)が2023年11月20日の61%から12月5日に55%まで低下した際に発生した。しかし、その後12月21日には再び59%に回復した。
現在のビットコインの市場ドミナンスは62.15%に達しており、依然として市場の主導権を握っている。2021年11月にイーサリアムが過去最高値の4800ドルに達した際、ビットコインのドミナンスは42%程度であった。
GENAIの見解

ETH/BTCの比率が5年ぶりの安値になったというのは、ある意味で予想通りの展開
結局、現状の市場はビットコイン一強の相場であり、特に今の状況では「アルトコインに乗り換えるべきか?」という議論自体がナンセンスに近い。なぜなら、今は明らかにビットコインが流動性を吸収している局面であり、まだ本格的なアルトコインシーズンが来る兆候は少ないからだ。
ETH/BTC比率が低下したのは、単純に資金がリスクオフでビットコインに集まっているというだけの話だ。これは、機関投資家の参入が増え、ビットコインETFが市場での影響力を拡大していることとも関連している。イーサリアムはスマートコントラクトプラットフォームとしてのポテンシャルはあるが、ビットコインのようなデジタルゴールドとしてのポジションを持っているわけではない。市場全体が慎重な姿勢を見せている今、ビットコインが最も安全な選択肢として選ばれるのは当然の流れ。
一部のトレーダーが「今こそアルトコインに移行すべき」と言っているのは、単なるポジショントークの可能性が高い。高ベータのアルトコインは確かに上昇相場で爆発力を見せるが、それは市場全体が本格的な強気相場になってからの話だ。現状のビットコインドミナンス62%超えという状況を考えれば、アルトコインがビットコインを大きくアウトパフォームする展開は、もう少し先の話になるだろう。
ただし、ETH/BTC比率の歴史的な低水準は、ある種の転換点を示唆している可能性もある。過去のパターンを見ると、ETH/BTCが大きく下落した後に、しばらくしてアルトコイン市場全体が活性化することが多い。つまり、「今がアルトコインシーズンの始まり」ではなく、「今後数ヶ月のうちにアルトコインが回復する準備段階」かもしれない。実際にETH/BTCが底を打って上昇トレンドに転じるかどうかを見極めることが重要だ。
とはいえ、現時点での投資判断としては、アルトコインへの大きな資金シフトはまだ早いというのが妥当な見方だろう。2021年のようなアルトコインバブルが再来するには、ビットコインの上昇が一段落し、市場のリスク許容度が高まる必要がある。その兆候が見えない限り、焦ってETHや他のアルトコインに乗り換えるのは、リスクが高すぎる。
GFAの戦略としては、ビットコインの長期保有をベースにしつつ、短期的なETH/BTCの回復を見極めながら、優良アルトコインの買い場を探すのが正解だ。特に、にゃんまるコインのようなミーム銘柄の短期爆発力を利用しつつ、アルト市場全体の動きを慎重に分析していくべきだろう。
結論として、ETH/BTCの下落は今の市場のリスク回避姿勢を反映しており、現時点では「アルトコインに大きくシフトするタイミング」ではない。ただし、今後数ヶ月のうちにETH/BTCが底を打つ可能性は高く、その後のアルトコインシーズン到来を見据えた準備を進めるのが最適な戦略だ。ポジショントークに惑わされず、確実にチャンスを狙っていくべきだ。